16時の書庫〈過去〉7 ページ13
16時の書庫〈過去〉
「普おはよう」
あの日のことは特に警察沙汰にもならず終了した。あれから警戒しているのか父親が刃物を持ち出す事はなかったが見えないところに怪我や痣は増えている。
「おはようA
今日も放課後は図書室？」
「そうだね。多分図書室にいるよ」
「最近図書室に行くこと多いね」
最近調べものをしたくてよく図書室にこもっている。今日も色々調べなきゃなぁと思いながら普との登校中の時間は幸せ。
「そういえば...この前の返事だけど」
ふと思い出したように普に告げる。その話題が来るとは思わなかったのか挙動不審でその様がまわりにも面白くて声をあげて笑った。
「なんだよ...」
拗ねたようにいう普に"ごめん ごめん"って謝るとそっと普の手を握る。
「A？」
「もしかしたらね...
どっか行かなきゃいけないかもしれないの。
それは遠いとこだし待っててなんて言えない。
でも普といる時間を今よりも大切に形にちゃんとしたいから
普がそれでも良いなら
付き合いたいなぁって...」
ゆっくりと伝える本音を静かに聞いてくれる普。もしかしたら心臓の音が聞こえるんじゃないかって思うほど激しく動悸する胸。
「どこかって？そんなに遠いの？」
「遠いよ。すごく...」
「帰ってこれないの？」
「帰ってこれないね」
「そう...」
静かに繰り返される問答。
「じゃあ俺行くよ。そこに...
そしたらまた会えるから」
ニコリと笑う普にクスリと笑うと"ありがとう"って伝えた。嬉しいのか溢れた涙を拭こうとする手を普はさっと押さえると、自身の指でぬぐう。
「泣き虫だねAは」
宥めるような声に目を閉じて微睡むと唇に柔らかな感触が伝わる。
はっとして目を開けると、いたずらっ子の様に笑う普がいた。
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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (
レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります！体調気をつけて更新頑張ってください！ (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃炎 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/lampyridae/page/1/
作成日時：2020年2月9日 11時
