毒姫と花子くん

ミサキ階段4 ページ25

ミサキ階段


ジリリリン ジリリリン

最近ではほとんど聞くことのなくなったベルの音が響く。
ビクッとしながらも音がする方向に視線をおくると鳴り響く黒電話。

「で 電話...？」

寧々の震えた声がやけに響く。
"早く出て"と言わんばかりに鳴り続ける電話に寧々は近づくと受話器を取った。

「もっもしもし あのっあなたは...」

声をひきつらせながらも電話越しの何者かに話しかける。

「...あたし ミサキ...

この階の上にある学び舎で
生徒にものを教えていたの

でもここで身を裂かれて殺された
丁度あなかが立っているところでね

ねえ あなた
あたしの身体探してくださいな

これじゃあなにも出来ないわ...
まずは腕 右の腕ー
この手であたし
白墨を使って字を書くの

急いでね じきに授業が始まるわ」

電話からの話に背筋が凍る。
一方的の切られた電話と空しく鳴り続けるツー ツーという音。
上の方からギ ギギと何かが動く音がした。

「な なに？」

Aが音のでる方を見つめると大きな砂時計がガコンと引っくり返り、サラサラと砂が落ちていく。

「砂時計？」

「...ふん 時間制限付きってことかよ」

まるでAの疑問にこたえるかのように話す光。
ふと寧々が"腕此方"と書かれた祠を見て、腕を置けば先に進むのかと花子くんに聞く。

「さあ？でも何かは起きるだろうね」

少し困ったようにいう花子くんに寧々は不安そうにする。それを励ます光が無視して進もうなんて言い出すから花子くんが意地悪そうに"やめといたほうがいい"と伝えた。

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