HUNTER×HUNTER 守り人少女 (ページ12)

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第9話ページ12

走っている合間に、だんだんと霧が濃くなり、前を走る受験者が見えるぐらいの視界だ。

仕事柄か、天候チェックと周囲の人の立ち位置や気配に気を遣ってしまう。
そのせいだろうか。ほんの僅かな殺気にリルナは気づいた。

リ「キルア・・・」

だんだんと殺気が強まって来ている。きっとあのヒソカだ。

キルアに声をかけた時、キルアもまた気づいたのだろう。ちらりと後方へ視線を向けていた。

キ「ゴン、もっと前に行こう」

ゴ「試験管を見失っちゃうといけないしね」

リ「それもあるけど、私、ここにいたくない」

ゴンはえ、と戸惑いの声をあげてリルナを見る。

キ「ヒソカ、あいつ殺しをしたくてうずうずしてやがる」

リ「さっきから殺気がね。あいつには敵わないから、近くにいたくない」

誤解させてしまっただろうか。だとしたら大変な誤解なので、すぐに言葉を補う。

ゴ「レオリオー！クラピカー！キルアとリルナがもっと前に来た方が良いって！」

キ「緊張感のない奴だなー」

ゴンの調子に緊張していたリルナの表情が緩んだ。
ゴンって面白い子だなあ。今までに見たことのない人種だ。

キルアもゴンと一緒にいるのが楽しいみたいだし、リルナ自身も楽しい。もしかしたらゴンと・・・

そこでリルナははっと我に返った。

リ(私は今・・・)

何を思った？もしかしたら、何だ？

リルナは不穏な答えを見つけ出しそうになる前に考えることをやめた。

思ってはいけないこと思ってしまったような気がして、怖かった。

先程よりも前の方に進んだが、ゴンはクラピカとレオリオをずっと気にしている。

あの2人はあまり話していないが、ゴンがそれほど気にかける人物だ。後で機会が有れば話して見たい気もする。

親しい人の身を案ずる気持ちもわかるが、こっちもそんな余裕はないのだ。ゴンには悪いが、このまま進むしかない。

また悲鳴が上がり、血の匂いがする。

キルアも「せいぜい2人の悲鳴が聞こえないことを願うんだな」と言っている。

ゴ「やっぱり気になる！2人は先に行ってて！」

キ「ちょっ、おまっ、ゴン！」

リ「ゴン！？」

キルアとリルナの戸惑いの声を無視してゴンは颯爽と引き返して行った。

リルナはキルアの様子を伺う。

もし、キルアがゴンに付いて行こうとするならば、全力で止めるつもりだった。きっとレオリオとクラピカがいるところにはヒソカがいる。

悔しげな表情で前を向き直したキルアにリルナは内心で安堵していた。