ラ ←12/20 ページ6
すらっとして、モデルみたいって思ったその男の人は・・・相葉さんだった。
私が歩き出すと、手に持っていたスマホをジャケットのポケットに入れて、
「Aちゃん？」
って私に笑いかけた。
「Aさん」から「Aちゃん」に変わった呼び方に、小さな違和感を感じながら、
「相葉さんもお手洗い？」
って話しかけた。
「うん、そんなとこ」
「じゃ・・・戻るね？」
って相葉さんの前を通り過ぎようとしたら、その長い手を目の前の壁にガン！と勢いよく伸ばして、私の行く手を阻んだ。
ビックリして相葉さんのほうを見ると、相葉さんの頭上にある電球が、相葉さんの前髪の影を顔に作って、表情が読み取れなかった。
「・・・相葉さん？」
って呼ぶと、
「通せんぼ！」
って楽しそうな声で言うと、こんな暗い場所なのに、眩しいくらいの笑顔を見せて、壁についていた手をふっと下ろした。
相葉さんはお手洗い済ませたのかな？と思って、
「相葉さん、お手洗いは？」
って聞いたら、
「”さん”は、嫌だ」
って小さく呟いた。
「え？」
「友だちだから、”相葉さん”って違くない？」
「・・・それなら、相葉くん？」
私がそう呼ぶと、相葉さん・・・いや、相葉くんは、嬉しそうに笑って、
「ま、今日のところは、それでいっか」
って言うと、私の頭をポンポンと撫でた。
ビックリしている私に
「じゃあ、戻ろっか？」
って言って、お手洗いとは反対のほうに歩き出した相葉くんの後ろを歩いた。
俊介はスマホを操作してたけど、私と相葉くんの気配を感じて、そのスマホをテーブルの上に伏せた。
「じゃ、行こうか！」
「あ、お会計は？」
「もう済んでる」
相葉くんがそう言って、どういうことだろう？と思って俊介を見ると
「A、行くよ？」
っていつもの笑顔を見せて、私の隣に並んだ。
店を出ると、
「風間、どっち？」
って相葉くんが聞いた。
店から、右に行けばＪＲ。左に行けば、地下鉄の駅がある。
「俺はこっち」
「そうなの？俺も一緒。Aさんは？」
「Aも俺と一緒」
躊躇なくそう言った俊介に
「すげぇ、仲良しじゃん！やっぱ俺、デートの邪魔した？！」
って声を上げてテンションが一段と高くなった相葉くんに
「そんなことないよ」
って俊介は穏やかに笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - でいじぃさんおはようございます。ホントの雅紀くんはどっち？主人公ちゃんの事を本気で好きなのかそれとも…(?_?)いつも爽やかでキラキラの雅紀くんが…謎多き雅紀くんで〜戸惑いつつ新鮮で楽しみです♪ (2017年10月29日 9時) (
レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - なるちゃんさん» ありがとうございます。たまにはピースフルじゃない彼もみたいなぁというところから始まったお話でした。 (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - ＡＫＩさん» ドラマでもいい人が多いんですよねぇ。雅紀のふっと冷めた表情とか、悶絶するのに！そんな表情が見られるドラマ、私も待ってるんですよね。 (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - ちぃさん» クリスマスプレゼントになったかしら?こんな雅紀、ドラマで見てみたい！ってとこから始まったお話でした♪ (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - つむさん» そうなんですよ、ちょいちょい黒い感じ出してたんですよ！それが伝わってよかったぁ( ´艸`)どんな雅紀にでも堕ちたい、私の願望丸出しのお話になっちゃった(笑) (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でいじぃ
| 作成日時：2016年12月19日 22時
