デ ページ26
私の目の前で、キラキラな笑顔を見せて、
「ねえ、いいでしょ？Aちゃん」
まるで子どもが、一緒に遊ぼうよ！って聞いてるくらいの口調。
だけど、私は、返事ができない。
そんな私の態度に、相葉さんの顔から笑顔がすっと消えた。
温度をなくした黒目がちな瞳が私をじっと捉えたかと思うと、顔がすっと私のほうに近づいて、
「いいよね？」
相葉くんの吐息交じりの囁き声が鼓膜を・・・心を震わせた。
「もう・・・・・・逃げられないよ？A」
右の口角だけくいっと上げて笑う相葉くん。
前髪で目が陰になっていて良く見えないけど・・・きっと目は笑ってない。
「・・・でも・・・私、俊介と・・・」
・・・そう、私は。
相葉くんと仲のいい俊介の彼女なの。
「今頃、あいつは、違う女の子と・・・あんなことや、こんなこと、してるかなぁ」
ってフッと冷めた様に笑う声に思わず顔をじっと見ると、前髪の隙間からはっきりと見えた目は、やっぱり笑ってなくて・・・背筋が凍った。
「・・・え？」
「相手は・・・風間の元カノ、なんだけど」
「・・・え？」
そう言いながらジャケットの内ポケットからタバコの箱を出すと、口に咥えて、ライターの火にタバコの先端を当てるとふうっと深く吸った。
「・・・バカだよね、あいつ」
煙を吐き出しながらそう言って、冷たく笑うと、私の唇を、長くてきれいな人差し指でそっとなぞった。
相葉くんの指が唇に触れた瞬間、背中に電流が走ったみたいな感覚がした。
自分の意志とは関係なく流れた涙。
相葉くんは、それを見ると、
「俺さ、女の子の泣いてる顔が好き」
そう言いながら、さっき唇を触れた指で、私の涙を拭った。
ずっと、相葉くんは温度がない瞳で、私を射るように見つめている。
「Aさ、」
そう彼の声で呼ばれて、ドキッとするのは・・・恐怖から？？
「・・・俺のこと、好き、でしょ？」
「・・・そんなこと、ない」
「そんな嘘つくのは、この口？」
そう言って冷たく笑うと、私の唇を彼の唇が塞いで、すぐに私の咥内にタバコの味が広がった。
もう、この人からは逃げられないって、心と体が震えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - でいじぃさんおはようございます。ホントの雅紀くんはどっち？主人公ちゃんの事を本気で好きなのかそれとも…(?_?)いつも爽やかでキラキラの雅紀くんが…謎多き雅紀くんで〜戸惑いつつ新鮮で楽しみです♪ (2017年10月29日 9時) (
レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - なるちゃんさん» ありがとうございます。たまにはピースフルじゃない彼もみたいなぁというところから始まったお話でした。 (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - ＡＫＩさん» ドラマでもいい人が多いんですよねぇ。雅紀のふっと冷めた表情とか、悶絶するのに！そんな表情が見られるドラマ、私も待ってるんですよね。 (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - ちぃさん» クリスマスプレゼントになったかしら?こんな雅紀、ドラマで見てみたい！ってとこから始まったお話でした♪ (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
でいじぃ(プロフ) - つむさん» そうなんですよ、ちょいちょい黒い感じ出してたんですよ！それが伝わってよかったぁ( ´艸`)どんな雅紀にでも堕ちたい、私の願望丸出しのお話になっちゃった(笑) (2017年1月11日 16時) (レス) id: 91388abb82 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でいじぃ
| 作成日時：2016年12月19日 22時
