010 ページ10
▼
.
_____ﾊﾞﾀﾝｯ‼
無駄に力強く閉めたドアの音が
うるさく鼓膜に響いた。
.
『あ"〜もう、なんやねん！クッソ！』
無性にイライラして
その理由は自分でもわからない。
このイライラを
どこにぶつけたらいいのかもわからず
とりあえず脱いだジャケットを投げ捨てる。
.
最上階のココの窓からは校庭が一望できる。
俺には、眺めがいいだなんて到底思えない。
今日は朝から父親の説教を受け
最悪な気分の中、登校した。
どうせ放課後も呼び出されるんだろう。
俺を縛り付ける家・学校・仕事・世間からの期待
常に息苦しさを抱えながら生きて来た。
空は晴れているのに
背後に広がる俺の部屋は真っ暗。
ついでに俺の心も真っ暗。
.
校門に向かって歩く
さっきのアイツが見える。
鬼の血相を描いて
俺に啖呵切ったくせに
もう穏やかな表情で桜なんか眺めちゃって。
.
…なんで、そんな穏やかな表情できるん、、、？
桜を見ても
何も感じられない俺は
とても寂しい人間なのかもしれないと
急な虚しさに襲われた。
.
今の今まで、
あいつのせいでイライラしてたはずやのに。
ボーーーーッ、と
吸い込まれるように
その女を眺めている自分がいる。
急に、手を伸ばしたい衝動に駆られて
左手が窓に触れた。
自分が自分じゃない気分。
▲
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 361人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Raine. | 作成日時：2020年5月24日 1時
