もしも爆豪少年が幼馴染を救いたかったら【MHA】

貴方が嫌いだ ページ19

運命には抗えられないんだよ。

誰かが呟いた言葉。
だったような気がする。

これはただの幕開けだ。

姉さんは僕のことを一体どうしたかったのだろう？

僕はたしかに姉さんを愛していた。
姉さんも僕を愛していた。

それ以上の幸福はないはずだったのに。

姉さんは、秩序と慈悲に。
僕は、正義と救済の道へと。

お互いどちらかが、妥協していればあの幸福は守られた筈だ。

確信を持って言える。

でも、後悔を感じないのだ。

姉さんの気持ちを無視して、己の信じる、姉さん曰く、理想論的な体の価値観へと僕は身を投じた。

でも、それを間違いだとは微塵も感じないのだ。

それどころか過ちを犯す姉さんをどんな手段を使っても止めさせなければならないとすら思う。

きっと、姉さんも同じなのだろう。

双子の勘？というのだろうか？
これもまた確信を持って言える。

僕らは、お互いにとって最悪の選択を互いに選び、互いの憎む道へと迷いなく突き進む。

そして、後悔すらしない。1ミリも微塵も。

ようやく気づいた。

僕は姉さんを愛せないのだ。
姉さんは僕を愛すことができないのだ。

今までずっと一緒だった。
愛し合いたいのに愛しあえない。

僕らは互いを思ってはいたけど、愛しはしていなかったんだ。

互いの最愛の為ならアッサリと殺しあうことができるほどに。

僕らは二人の相性は最悪だったのだ。

どうやったって憎み合う運命なのだ。

ほら、今だって、姉さんが僕に謝るよりも、僕が姉さんにひれ伏すよりも、

互いを殺しあう姿の方が鮮明にイメージできる。

僕は貴方をどこかで嫌いだった。

ポタリと涙が零れ落ちた。

最初から誰も愛してなどいなかったんだ。

お前が嫌いよ→←甘く歪み揺らぐ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す