相澤せんせーとツンデレ奥様【相澤消太】 (ページ32)

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のろいをとくのはしんじつのあいのきすページ32

「A！！！！！！」

イレイザーは目にも止まらない速さでAを掻っ攫うと男を捕縛布で縛り上げた。

「よくもまぁ、人の嫁に手ェだしてくれたな！！この、イカれオールフォーワン信者が！！！！！！」

男が何かをボソボソとつぶやく。

「俺、が、夫だったんだ、それだけで良かったんだ。浮気だって、許せたのに、あの人との間に子どもができたら誰より喜んだのに、愛していた！！それだけで良かったんだ！！！！！！なんで、なんでぇ！！！！！！！！」

大粒の涙をこぼしながら、男は叫ぶ。悲痛だった。相澤の頭の中にはあの日のAの声が蘇った。

“愛していた！！それだけでよかった！！！なんで！！なんでぇ！！！！！！"

「黙れ！！オールフォーワンの時代は終わったんだ！！さっさとお縄につけ！！」

オールマイトが怒鳴ると、Aがすっと立ち上がった。

『いいや。あなたは私を愛してはいない。』

彼女の静かな声に男ががなった。

「違う！！！！！！」

大きな怒鳴り声。しかし、それ以上の声がAの口から吐かれた。

一同は驚いたようにAを見た。

『違わない！！あの方は私の残忍さを愛してはいたが、私を愛しはしなかった！！

お前も同じだ！！

私の狂気を愛しはしたが、私自身を愛さない！！いや、愛せないんだ！！お前は愛し方を知らない！！

お前の父親もあの方を愛していた！！だが、あの方はお前の父の金と権力を愛したが、お前の父を愛さなかった！！

どうだ！！お前の父は死んだ！！

そこに残るのは尊い愛による死でも犠牲でもない！！

愛されたかったものが愛されず見捨てられて死んでいった。その事実だけだ！！

お前もそうだ！！私に愛されたかったのにこうして今捨てられる！！私もそうだ！！あの日捨てられた！！

だから私たちは死ぬんだ！！』

男の瞳から狂気が消え、大粒の涙がこぼれ落ちた。まるで子供のように泣いた。しゃくりごえをあげ、あの日のAのように泣いた。

『おまえは愛したものを攫った挙句、この先、刑務所行き、これからの人生も厳しいものになるだろう。だが、おまえは、私だ。愛されなかった。悲しい私。ありえたかも知れない未来の姿。

だから、わたしはお前を愛すんだ。

たった、ひととき、これからお前が誰かを愛せるように、愛されるように。

A。同じ名を持つ分身よ。』

Aは男に触れるだけのキスをした。ほんの一瞬の真実の愛だった。