相澤せんせーとツンデレ奥様【相澤消太】 (ページ29)

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ひさしぶりまいふぃあんせページ29

まずい。やらかした。Aは頭の中で大慌てしていた。

彼が、そこまで自分に執着していたとは。

Aは執着というものをされたことがない。その性格に呆れ果てるもの、利用するだけして裏ではなんとも思ってないもの。

そんなのばかりだった。

あの男もてっきりそうだと思っていた。

可哀想に。親に言われて無理やり婚約。私は彼にわずかな同情心さえ持っていた。私も同じだったから。

正直、夫に捨てられた今、同情で共に過ごしてやっても構わない。

そうされても仕方ないくらいの仕打ちを彼にしてきた。

彼の部下に罪を被せた。彼に言いよる女ヲ間を取り持つからと利用した。

彼自身にもたくさんの罪を被せた。それでも私は彼をいないものとして扱い、オールフォーワンに愛を吐き続けた。

『自業自得、ね。』

でも、今の私はヒーローだ。

個性制御装置なるものを開発するだけの規模の組織を野放しにはできない。

酩酊する中でかろうじて下着に隠した携帯電話。この部屋も覚えている。彼と私の書類上の同居先だった新宿のタワマン。

電源は付いている、ボイス機能で一番上の部分に出る電話番号に電話をかける。

“もしもし！！お前今どこにいる！？エンデヴァーさん達と探してんだぞ！！"

優しいね。こんな私を探してくれるなんて。監視だとしても優しすぎる。

指名手配なりなんなりすればすぐに見つかるはずなのに。

『新宿△丁目！！タワマン！！部屋番号は！！No.2！！』

声に気づいた男がどんどんと近づいてくる。

「また！！！俺を！！裏切るのか！！」

腹に思い切り蹴りを入れられ、携帯の液晶を踏みつけられる。

『裏切るわよ。私たちはそういうものでしょ？』

挑戦的な表情で見上げると、彼は私の頬を思い切りぶった。

バチン！！と音が響く。平手打ちってこんな痛かったんだ。

この男にとって、この部屋は大切な意味を持つ。だから、この部屋から動くことはない。

あとは、頼んだ。ヒーロー。