相澤せんせーとツンデレ奥様【相澤消太】 (ページ28)

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そのおとこそのほんしんページ28

初めて、彼女を雄英体育祭の中継で見た時、俺の全ては奪われた。

くだらない、父と同じ金儲けしか考えてないヒーロー気取りの公務員ども。

そのイメージを全て覆したのは彼女だった。

全てを見下すような冷やかな目。繰り出される鮮やかな個性。

オールマイトにすら憧れなかった俺の唯一のヒーロー。

ああ！彼女の姿を見ていたい！隣で！！もっと近くで！！

そんな時だ。父が彼女との縁談を持ちかけてきたのは。

俺はすぐに快諾した。あの方ことを尊敬していたし、何より叶わないと思った夢が奇跡的に叶ったから。

愛されなくてもいいと思えた！！それでも愛していた！！

オールフォーワンへの忠誠心という切れることのない絆でずっと繋がっていられると思っていた！！

ビジネスパートナーでよかった。ただ彼女の美しい狂気を見れれば、それでよかった！！

それなのに！！

「あの女との婚約は取り消しだ。奴は、オールフォーワンを裏切った！！！」

許せない！！！許せるはずがない！！

俺は、愛されなくてもよかった！！ただ彼女の夫であるという事実が誇らしかった！！

だから、女を作ってもいいと言われても作らなかった！！

後継をよこせという父親に対しては、いずれ生まれるだろうあの方と彼女の子供を自分の子供だと思って育てていくつもりだと宣言した！！

オールフォーワンへの純粋な忠誠心。一歩後ろに立つことを許された彼女。

彼女は間違いなく、これからオールフォーワンの一番の部下になるべき人間だった！！日本の裏社会を担う一員となるはずだった！！

それなのに！！！！

「タダで済むとは思うなよ！！あの方を！この俺を！捨てたことを！！俺はあなたを愛していたのに！！」

個性を制御するための装置をつけられ、縛られてなお、こちらを睨みつける彼女に心から歓喜する。

そうだ、あなたはそうでなくては。

あなたの狂気を！！俺に見向きもしない冷淡さを！！

俺はずぅっと愛してる。