相澤せんせーとツンデレ奥様【相澤消太】 (ページ27)

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どっかであった？きのせいじゃないよ。ページ27

「君、可愛いね。何歳？」

隣に座る男に脚を弄られながらAはぎゅっと目を瞑って答える。

『・・・３０歳。』

少し、驚いた顔すると男はニヤニヤと笑い出す。

「嘘、見えねーわ。実は俺も３０。一緒だね。でも、３０なんてもうそろこういう仕事も限界なんじゃない？結婚してないの？」

『してるけど、でも。』

男はますます嬉しそうな顔をする。

「そっかー。まあ、なんとなく事情は察した。ねえ、君さ、このあと暇だよね？

アフターしてくれない？店の方には許可取ってるし。」

アフター、営業終了後に客と出かけることだ。要するにデート。

食事だけというパターンもあるが、もう３０やそこらの女がそれで許されるわけないだろう。

『それはちょっと、』

「は？」

男がぐいっとAを引き寄せる。

「金ないし、歳もいってる。指名つけなきゃやばいんでしょ？もういい歳なんだからアフターとどうはんやんねぇと無理だろ。」

それも、そうだ。あたりまえだ。

『そう、ですね。私、馬鹿だなぁ。』

「当たり前だよ。本当。俺が教えてやらなきゃどうしてたんだよ。情けないなぁ。

そんなんでよく生きてこれたな。アンタ。」

ガシッと頭を掴まれると机に叩きつけられる。

『ッ、やめろ！！』

「やめねぇよ。先に約束破ったのはそっちだろ。」

約束？

この男と約束なんてしただろうか？知らない。そんなの知らないはず。

はずだった。

そうだ。この男、どこかで。

“A。彼は例の会社の息子さん。君の事務所のスポンサーのとこのね。"

その男はじっと自分を見ていた。

“少し酒癖が悪いけど、とても優秀だし、それに、信頼もしている。僕と彼の父は付き合いが長くてね。

互いに息子と娘ができたら結婚させようって約束だったんだ。でも、僕に娘はいないからね。だから。

A。彼と結婚してくれるかい？"

ほとんど会うこともなかった。名目だけの婚約者。

私とオールフォーワンの関係を知りながら婚約に応じるしかなかった哀れな男。

“いいか？私はお前を愛さないし、お前も好きに女と遊ぶがいい、子を作ろうが、共に住もうが何も言わない。

だが、あの方を裏切ること。それだけは許さない。そして、また、私も良き妻良き母になる気など毛頭ない。“

それが、私が彼に初対面で吐き捨てた言葉。彼はそれに応じ、嬉しそうに笑った。

私の意識はゆっくりと沈んでいった。