検索窓
今日:8 hit、昨日:34 hit、合計:94,949 hit

5 ページ5





「おう、伊之助か」
「じいちゃん!」


俺、友達とやらができたんだぜ!と伊之助が胸を張れば、「良かったじゃねぇか」と笑う爺さんは「その友達とやらは、一緒じゃねぇのか?」と辺りを見回す。


「なぜか会いに来なくなった」


淡々とそう告げる伊之助に、「十中八九、お前がその友達とやらに不快な思いをさせたんだろうな」と爺さんは事もなげに言ってのける。


「十中八九?」
「大方、ほとんどって意味だ」
「なっ、俺が悪いって言うのかよ!?」


不服そうに声をあげた伊之助に、爺さんは「じゃあ最後に会った日のことを、事細かに言ってみろ」と口角を上げる。


爺さんに言われた通り、一から十まで最後に会った日のことを話した伊之助は、「お前、友達の手を振り払う奴がどこにいるんだ!馬鹿もん!」と頭を勢いよく殴られる。


「い、いきなり触ってくるあいつが悪い!!」
「馬鹿か!その嬢ちゃんはお前と仲良くなるためにわざわざ食べ物持ってきて、お前の髪を褒めてくれたんだろうが!」


そう言って再び頭を殴られた伊之助は、瞬く間に元気をなくして、しゅんとした様子で黙りこむ。


「そもそも、友達とは目を合わせて話すもんだ。被り物が大事なのも分かるが、目の前の友達を大事にしろ」


そのまま今度は優しく伊之助の頭を撫でた爺さんは、「いいか?目を見て、話す!」と念押しをする。


「わ、分かった。目を見て、話せばいいんだな…」


何度もコクコクとうなづいた伊之助は、「ありがとうな、爺さん!」と元気な声を出す。


「おう」


次会った時は、目を見て話す…

律儀にそんなことを呟きながら爺さんのもとを去っていった伊之助に、爺さんは「頑張れよ、伊之助」と表情を柔らかくして伊之助を見送った。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (198 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
309人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 嘴平伊之助
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

チーズ(プロフ) - 唄子さん» コメントありがとうございます!そしてお返事遅くなり申し訳ありませんm(_ _)m嬉しいお言葉をありがとうございます!! (2023年4月10日 3時) (レス) id: 3890fde5bc (このIDを非表示/違反報告)
唄子 - 胸がキュンキュンです (2022年8月10日 21時) (レス) @page37 id: 585502c22b (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ナギサさん» コメントありがとうございます!伊之助の良さが表現できていたようで嬉しいです!ご期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いします(^^) (2020年12月9日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
ナギサ(プロフ) - 伊之助のこの男らしさと可愛さが混ざった表現を…ごちそうさまです。続き楽しみに待ってます (2020年12月9日 6時) (レス) id: 4d18708d8c (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - しがれっとさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます〜!!お兄様いいですよね!歳の離れた妹を溺愛しつつ、厳しいところは厳しい、しっかりしたお兄様でございます(^ω^) (2020年12月7日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:チーズ | 作成日時:2020年11月24日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。