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Aの父は、月彦に嫁いだAが自分のせいで不憫な思いをしないようにと、懸命に月彦の治療に当たっていた。
だが、そんな父の努力を嘲笑うかのように悪化の一途をたどる月彦の病状は、月彦の機嫌を損ねるのには充分な理由だった。
「この薬、全然効かぬではないか」
「も、申し訳ありません。ただいま、新薬を開発中でして…」
慌てて頭を下げる父に「もう良い」と言った月彦は、ゆっくりと表情を和らげて、隣にいるAの背に手を回す。
「今日は、医師に報告することがある。…A」
「はい。…少し前から月のものが来なくなり、お腹も大きくなってまいりました」
「…!」
Aの言葉に無言のまま目を大きく見開いた父は、そのまま笑顔を浮かべるAと月彦を見比べる。
「私は、母となるのです」
「A…!」
決定的なAの言葉に、嬉しそうに顔を綻ばせた父は、Aを優しく抱きしめ「なんとめでたいことだ」と何度も繰り返す。
「私も、父となるからには長生きしなければいけない。…よろしく頼むぞ、医師」
「はい!全力を尽くさせていただきます」
そう言って月彦に頭を下げた父は、一刻も早く新薬を完成させねば、と決意新たに研究に勤しむのであった。
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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時