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極限まで食欲を我慢して、結局月彦に無理やり食べさせられる。
そんな日々に次なる変化が起きたのは、Aが自分ではなく月彦のために人肉の調理をしている時だった。
「いたっ、」
包丁で指を切ってしまい、慌てて水で流したAだったが、痛みを感じたその指先に肝心の傷口がなくなっていたのだ。
「え、」
どういうことだと何度指先を確かめてみても、その指先はいつも通り綺麗なままで、先程包丁で切ったことなど、なかったことかのように思われた。
では、今度はもっと深く切ったらどうなるの?
Aが湧き上がる好奇心のままに包丁を指先に突き刺した時、すぐ後ろの耳元で「何をしている」と月彦に声をかけられる。
「月彦さま!」
慌てて振り返ったAの指を口に含んだ月彦は、そのままねっとりとAの指に舌を絡ませ、傷口をゆっくりと舌先でなぞる。
「っ、き、傷が…、すぐに治ったような気がして、もう一度試してみようと…」
「そんなもの、私で試せば良いものを」
そう言う月彦の口から出てきたAの指は、やはりいつも通りの綺麗なものだった。
「どうして傷が、こんなに早く…」
驚くAに「私にも分からない」と返事をした月彦は、Aの手から包丁を奪いそのまま躊躇なく自分の首に突き刺す。
「っ!」
飛び散る血しぶきに慌てて目を閉じたAだったが、次に目を開けた時には既に月彦の首の傷は塞がりかけていた。
「傷が治るどころか、何をしても死なないようだ」
血だらけのままそう言って口角を上げる月彦は、まさに鬼と言うのに相応しい出で立ちで、血だらけの手を差し出して「舐めろ」と言う様は、まさに鬼畜そのものだった。
これを舐めれば、今日は人肉を食べなくていいのだと思い素直に月彦の手に舌を這わせたAは、だんだんと動悸がしてきて身体中が痛く、立っていることすらままならなくなってくる。
「全部綺麗に舐めとれ」
久々に従順なAを前に、恍惚な表情でそう言った月彦は、苦しそうにしながらも首や手に懸命に舌を這わせるAの姿に、情欲にも似た昂ぶりを覚える。
月彦は苦しそうに呻くAの顔についた血を丁寧に舐めとり、そのままAに口付け己の唾液ごとそれをAに嚥下させれば、途端に心の中を満たすのは目眩がするほどの心地よい快楽。
そのままAの唇に歯を立ててその血を吸い上げた月彦は、さらなる快楽を求めるように、Aの身体に身を寄せた。
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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時