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それからというもの、昼夜問わず屋敷に閉じ込められることとなってしまったAは、それが自分を思うがゆえの月彦の愛だと分かっていても、どうしても息苦しさを感じてしまっていた。

「いま戻った」
「おかえりなさいませ」

今まで食べていたものが人肉だと知ってしまったAは、月彦が手にしている肉を美味しそう、と感じてしまう自分自身にすら嫌悪感を感じて、吐き気をもよおしてしまい慌ててその場を離れる。

気が乗らないながらも部屋に戻ると食卓に並べられていたのは、人間の腕と思わしきもの二つ。

「食べろ」
「い、嫌です…」

真っ青な顔で首を横にふるAは、ここ一週間ほど何も口にしておらず、そんなAに苛ついたように舌打ちをした月彦は、Aの腕を掴んで無理やり歩かせ小屋へと連れて行く。

「なにを…」

小屋の中は真っ暗で、加えて外も暗いので何も見えず、暗闇の中で響く、ぢゅっ、と何かを啜るような音がAの恐怖をあおり、Aは自分で自分を抱きしめるようにしてその場に座りこむ。

「!つき、んっ」

音もなく近付いてきた月彦にいきなり唇を塞がれ、口の中にゆっくりと流れ込んでくる温かな液体が血だと気付いたAは慌ててそれを押し戻そうとするも、無理やり上を向かされていて息苦しいAは、結局その血を飲み込むしか道はない。

「っ、」
「口を開けろ」

飲んでしまった、と嫌悪感から溢れる涙を月彦に舌で舐めとられて、開けたくない、と抗議の意味を込めてAが首を横にふると、何かを咀嚼するような音と、再び塞がれる唇。

口の中にねじ込まれる細かく噛み砕かれたそれは、本当はずっとAが本能で求めていたもので、それでも理性でそれを飲み込みたくないAは、思いきり月彦の舌に歯をたてる。

「!」
「ん!…ゴホッ、」

Aの必死の抵抗も虚しく、歯をたてた途端いきなり地面に押し倒され強く地面に頭を打ち付けたAは、その勢いで口の中のものを飲み込んでしまう。

「酷いです…」
「なら、飢えが我慢できなくなって生身の人間を食い殺すほうがましか?」

そんなこと選べるはずもないAは、残酷なその月彦の問いに、ただただ涙を流すしかなかった。

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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時

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