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苦しむAにお構いなくさらにAの首をきつく絞め上げた月彦は、Aを冷たく睨めつけながら言葉を続ける。
「言え、あそこで何を見た?」
「ゴホッ…、な、なにも…」
「まだ言うか!」
バシン、と乾いた音と共に左頬に感じる痛みに、月彦に頬を打たれたのだと気付いて、Aは思わず涙が溢れる。
「お許しください…本当に、何も…」
Aの返答に引きずるようにしてAを外に出した月彦は、Aの顔を無理やり小屋の方に向けさせて、小屋を指さす。
「見ろ。お前の小屋へと向かう足跡と、焦ったようにこちらに戻ってくる足跡だ。…それに、小屋に掛けていた板の位置も変わっていた」
もう言い逃れなど出来ない決定的な月彦の言葉に、Aもようやく観念して「私はずっと、人の肉を食べていたのですか」と月彦に問いかける。
「……。そうだ」
長い沈黙のあと、苦々しい表情で月彦がそう返事をしたその瞬間、自分を小屋に近付けさせなかったのも、月彦が肉をわざわざ加工してから屋敷に持ってきていたのも、全てが月彦の自分を思う優しさだったのだと気付いたAは、もう二度と元には戻れないと悟って、冷たい涙がゆっくりと頬を伝った。
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チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございますー!!こちらこそ、最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - とても美しすぎて儚すぎる結末に声が出ないくらい涙しました。素敵な作品をありがとうございます。 (2020年12月26日 2時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - 草薙@sadist_nagiさん» コメントありがとうございます!そして最後まで読んでいただきありがとうございました!かく言う私も、目から大量の海水をこぼしながらこの作品を書きました、、自分で言うのもあれですが、本当に切ない結末ですよね(;ω;) (2020年12月25日 15時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
草薙@sadist_nagi - …あれ…目から海水が(( (2020年12月25日 14時) (レス) id: b78cc7195a (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - ゆうこさん» コメントありがとうございます!もちろん気付きました〜!そんな風に言っていただけて嬉しいです!最後まで読んでいただきありがとうございましたm(__)m (2020年11月11日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月29日 19時