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お腹の子がもし鬼だった場合、無事出産まで迎えられるかも分からないので、他の隊士たちには生まれた後に報告する、ということで落ち着いた。
ただ善逸だけは、お腹の子を鬼かどうか判別できるかもしれないとたった一人、産屋敷邸に呼び出されていた。
「…あ、あの…」
「A、無惨、…入っておいで」
呼び出された意味が分からず、視線をあちこちに彷徨わせながら縮こまる善逸に笑みを浮かべたお館様は、隣の部屋に待機していたAたちを部屋に招き入れる。
「え、」
緊張しすぎて音を聞くどころではなかったのか、Aたちが居たことに気付かなかったらしい善逸は驚いたようにAたちに目を向けて、そのままAとお館様を見比べる。
「…、」
相変わらず何故生きていられるのか不思議なAの心臓の音に眉をひそめながら、善逸は「…あの、」と物言いたげな瞳をお館様に向ける。
「…うん。善逸を呼んだ理由はね。…Aのお腹の音を聞いてもらいたくてね」
「…お腹?」
「聞けば分かるよ」
詳細な説明は一切なく、感情の読めない瞳でただじっと自分を見つめる無惨、不安げに視線を落とすA、笑顔のお館様を見つめて、善逸は言われた通りAのお腹に耳を近付ける。
「…え、」
Aのお腹から聞こえるのは確かに、人間とは思えないほど早く動く心臓の音で、善逸はふと、重いお腹を抱えた妊婦からも似たような音がしていたことを思い出す。
「子供…?」
「うん。それで、その子は…人間…かな?」
「!」
お館様の言葉に、慌ててもう一度Aのお腹に耳を当てた善逸は、鬼らしい独特な音はしないことを確認する。
「鬼…ではないような、気がします。ただ…結構大きいみたいですが、もう生まれるんですか?」
「いや、まだ…予定では、あと半年は先のはずだけど…」
「うーん…。血の巡る音からして、生まれたばかりの赤ん坊と、似た大きさな様な…」
これまた善逸の言葉は、少しも間違ってなどいなかったことをAたちは3日後、思い知ることになる。
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チーズ(プロフ) - 美鬼さん» コメントありがとうございます!無惨様かっこいいですよね!!私も好きすぎて、自然と無惨様の作品が増えてしまいました(笑)こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました!これからも無惨様どんどん書いていきたいと思います(^^) (2021年2月10日 12時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
美鬼 - ついこの間鬼滅にはまり、見た中の最後に出てきた、無惨様のかっこよさに惚れてしまって、小説を探してたんですが、どれも更新されずに終わったものばかりで…、最後まで書いてくださって本当にありがとうございます!無惨様にこれからもドキドキしそうです…、 (2021年2月10日 0時) (レス) id: 2739ea30a5 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて、嬉しすぎます(;ω;)これからも無惨様書きます!!よろしくお願いします(^^) (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - あの、、、大好きです、、、ほんとに無惨様の作品が少なくて無惨様の作品を作って頂けるのはほんとに嬉しいです、、今まで色々な夢小説を見てきましたがチーズさんの作品が1番好きです。恐縮ですがこれからも無惨様の作品を作って頂けると嬉しいなぁと思っております (2020年12月26日 15時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - マナさん» ありがとうございますー!!強くなっていくのでしょうか!温かい目で見守っていただけたらと思います(^^) (2020年8月7日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2020年7月28日 19時