12 ページ12
・
「…っていうことがあったんですよ。炭治郎くん、素敵ですよね」
次の日、再び少年の姿でAの目の前に現れた無惨を昨日と同じように抱き上げながら、Aは無惨に、昨日炭治郎と話したことを事細かに話す。
「…Aさんは、その炭治郎とやらがお好きなのですか」
「はい!とってもいい子なんです!」
Aの返答に不愉快そうに表情を歪めた無惨は、そのまま無言でAに抱きつくが、少年の姿でそれをされると子供が拗ねているようにしか見えないAは、「可愛い」と言って笑顔で無惨を抱きしめ返す。
「ところで、なぜ女の人だったり子供だったり、姿を変えているんですか?」
「…あの烏…Aさんのですよね」
そう言って無惨が指さす先には一羽の烏が止まっていて、Aが目を向けた途端その烏は慌てたようにそこから飛び立っていく。
「鎹烏がどうかしたんですか?」
「…貴女は、私のことを鬼狩り共に話したのでしょう?頻繁に私と会っていると知られれば、Aさんの立場が悪くなるのでは、と」
そう言う無惨の言葉が、まるで自分を心配してくれているような気がして嬉しくなってしまったAは、「やっぱり貴方が好きです…!」と無惨の小さい身体を力いっぱい抱きしめる。
「…。私も…と言っても、Aさんはきっと、鬼にはなってくださらないのでしょう?」
ぽつりと寂しげに呟かれた無惨の言葉に、Aがその表情を窺い見ると、子供の姿だからそう見えるのか、現実にそうなのか、今にも泣いてしまいそうな表情を浮かべる無惨と目が合う。
「…私は…、愛などのために、全てを捨てることはできません」
無惨の言葉に切なそうに眉を寄せたAは、無惨を抱く腕に力を込めて、ゆっくりと口を開く。
「…私は…貴方に、家族を殺されました。…大切だった、鬼殺隊の仲間も友人も」
「…、」
「それだけでは…貴方を決心させるには、足りないでしょうか」
思わず震えた声を誤魔化すようにAが笑顔を浮かべると、Aの顔をじっと見つめていた無惨がそっとAの頬に手を伸ばす。
569人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - 美鬼さん» コメントありがとうございます!無惨様かっこいいですよね!!私も好きすぎて、自然と無惨様の作品が増えてしまいました(笑)こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございました!これからも無惨様どんどん書いていきたいと思います(^^) (2021年2月10日 12時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
美鬼 - ついこの間鬼滅にはまり、見た中の最後に出てきた、無惨様のかっこよさに惚れてしまって、小説を探してたんですが、どれも更新されずに終わったものばかりで…、最後まで書いてくださって本当にありがとうございます!無惨様にこれからもドキドキしそうです…、 (2021年2月10日 0時) (レス) id: 2739ea30a5 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - manayattiさん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて、嬉しすぎます(;ω;)これからも無惨様書きます!!よろしくお願いします(^^) (2020年12月26日 22時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
manayatti(プロフ) - あの、、、大好きです、、、ほんとに無惨様の作品が少なくて無惨様の作品を作って頂けるのはほんとに嬉しいです、、今まで色々な夢小説を見てきましたがチーズさんの作品が1番好きです。恐縮ですがこれからも無惨様の作品を作って頂けると嬉しいなぁと思っております (2020年12月26日 15時) (レス) id: 1471b15ec3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - マナさん» ありがとうございますー!!強くなっていくのでしょうか!温かい目で見守っていただけたらと思います(^^) (2020年8月7日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ | 作成日時:2020年7月28日 19時