夢 【煉獄杏寿郎】

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その後Aは何度も煉獄邸に通ううち、煉獄家は鬼殺隊という組織の炎柱という、重要な役割を担う人間を輩出している名門であること。

煉獄杏寿郎その人が、今の炎柱であること。

鬼殺隊というのは、鬼という人を喰うものを滅殺するための組織であること。

今まで知らなかった杏寿郎の色んなことを、少しずつ知ることとなった。



＊

「…Aさん！」
「！…杏寿郎さん！こんにちは」
「千寿郎にとても良くして頂いているようで、礼を言う！ありがとう！」


そう言いながら自然な動作でAの荷物を持った杏寿郎は、「お屋敷までお持ちしよう！」と歯を見せて笑う。


「え、あの…鬼殺隊のお仕事は、いいんですか？」
「今日は非番なので、お気になさらず！…それより、鬼は夜に活動する！Aさんは陽が落ちたら外へは出ないようにした方が良い！」
「はい、分かりました」


杏寿郎の底抜けに明るい笑顔はいつ見てもAの気持ちまで明るくして、自然と浮かぶ笑みをそのままに、Aは杏寿郎と連れ添って歩ける喜びに心から感謝する。


「最近の千寿郎はAさんの話ばかりで、俺とAさんは殆ど話したことがないと言うのに、俺までAさんについて詳しくなってしまった！」


そう言って豪快な笑い声をあげながらAに目を向けた杏寿郎は、「…俺はもう、Aさんを大切な友人の一人として認識している。困ったことがあれば、千寿郎はもちろん、俺にも遠慮なく頼ってほしい」と優しげに目を細める。


「あ、ありがとうございますっ」


本当に千寿郎から色々聞いているらしい杏寿郎の様子に、どこまで聞いたのかと若干の不安を感じつつも杏寿郎の気遣いは素直に嬉しくて、Aは明るい笑顔でお礼を述べる。


「…あの！ここまでで大丈夫です。ありがとうございました！」


あと少しでお屋敷に着くという頃、もうすぐ義母となる人に杏寿郎と一緒にいるところを見られるのは良くないと思い、Aは杏寿郎から荷物を受け取って、そそくさと屋敷の方へと走り去っていく。


「…うう…、感じ悪かったよね…」


去り際の杏寿郎の驚いたような表情を思い出して申し訳なく思ったAは、次会えた時に謝らなくちゃ、と心に決めてそのまま走るのを止めずに屋敷の門をくぐり抜けた。

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