46 ページ47
・
「…兄上の帰りは、いつになるでしょうか」
「そうだね。早く帰って来てくれるといいよね」
いつになるか分からないとの帰りに、Aと千寿郎は二人でそんな会話をしていると、門の方から慌ただしい声が聞こえてくる。
「お客様かな？私が見てくるから、千寿郎くんお掃除よろしくね」
「はい！」
ごめんください！と何度も呼びかけてくる声に、慌ててAが門から顔を出すと、Aと目が合った声の主である赤髪の少年は驚いたように目を見開いた。
「あ、あなたは…」
「え、じゃあ煉獄さんの奥さんって…、あれでも、この前新婚って…」
目に見えて狼狽える目の前の三人に、Aは「たしかに私は、煉獄杏寿郎の妻ですが…私に何か御用ですか？」と不思議そうに首をかしげる。
「え、いや…あの…」
視線を彷徨わせて言葉を迷っている様子の赤髪の少年に痺れを切らしたのか、猪を被った少年が赤髪の少年が持っていたものを無理やり奪う。
「あ！伊之助！」
「形見だ！」
「…え？」
「見事な最期だった！…俺は、あの人のような剣士になりたいと思う！」
そう言って猪頭の少年に手渡されたのは、確かにとても見覚えのあるもので、それでも少年の言っている意味が分からないAは、感情の読めないただの被り物をただじっと見つめ続ける。
「…、最期の言葉を…言付かっています」
「…最期…？」
「はい。…約束は果たす、と」
「！」
赤髪の少年のその言葉に唐突に少年たちの言葉の意味を理解して、悲しいだとか思うよりも先に、Aの瞳からは熱いものが溢れて止まらなくなる。
「…、」
自分で自分の感情に頭が追いつかずにただただ無言で瞬きを繰り返していると、Aは哀れみと同情、申し訳なさ、色んなものに揺れ動く真っ赤な瞳と目が合う。
「…夢、だよね…？」
何度そう問いかけても、目の前の少年たちは眉を下げて唇を噛みしめるだけで、決して首を縦には振ってくれなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (
レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - よもぉぎさん» コメントありがとうございます！無限列車に乗車したんですね！私まだなんですー！煉獄さん現実に来て欲しいですよね、、更新頑張りますのでよろしくお願いします！ (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 読ませていただきました！！煉獄さんがイケメン過ぎるし千寿郎は可愛くて お話が更新されるのを楽しみにしてます(*´ω｀*)更新大変だと思いますが、無理せず頑張ってください☆ (2020年11月4日 8時) (レス) id: 010b0b49eb (このIDを非表示/違反報告)
よもぉぎ(プロフ) - はわぁ...素敵すぎます〜！！煉獄さんから愛されるなんて話数を積む事ににやけが増していきます！！無限列車にも乗車したんですがどれほど煉獄さんが現実にいたらと思ったんだろう。。更新頑張ってくださいー！！！ (2020年11月4日 7時) (レス) id: 990295e7ae (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - パプピーマン。さん» コメントありがとうございます！好きすぎるだなんて嬉しいです！口角が富士山！言い回しが上手すぎて思わずクスッと笑ってしまいました、、！！関係ないですけど、今の季節の富士山はめちゃくちゃ綺麗ですよね〜(笑)更新頑張りますのでよろしくお願いします！ (2020年10月30日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チーズ
| 作成日時：2020年10月8日 14時
