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「…あ、姉上っ?大丈夫ですかっ?」
次の日、二日連続の無理が祟ったのか、全く足腰が立たなくなってしまったAは杏寿郎に背負われて屋敷に戻ってきて、それを見た千寿郎はAが大きな怪我をしてしまったのではないかと心配そうな表情でAと杏寿郎に駆け寄る。
「…姉上?」
「心配ない!ただの筋肉痛だ!」
もう色んなことが恥ずかしすぎて顔をあげられないAは、杏寿郎の肩に顔を押し付けたまま何も言わず、代わりに杏寿郎がいつも通りの笑顔で千寿郎に言葉を返す。
「筋肉痛ですか…筋肉痛には何が効くのでしょうか?」
「さぁ!…筋肉痛などもう何年もなっていないから、さっぱりだ!」
目の前で交わされる会話がもう恥ずかしくて、杏寿郎の首に回した腕にぎゅっと力をこめると、Aをそっと抱え直した杏寿郎はゆっくりと二人の寝室へと向かう。
「何か必要なものはあるか?」
布団を敷いてそこにAを寝かせ、そう言いながら立ち上がった杏寿郎に手を伸ばしたAは、慌ててすぐに手を引っ込めて寂しげな瞳を杏寿郎に向ける。
「ん?どうした?」
Aの傍に膝をついてAの手を追いかけるようにして握った杏寿郎は、ゆっくりとAの髪をすくようにして頭を撫でる。
「…ごめんなさい」
「はは、謝るのは俺の方だろう。…どうも俺は、自分が思っている以上に、Aが愛しくてたまらないらしいからな」
優しく微笑んだまま紡がれる杏寿郎の言葉が嬉しくて、Aが嬉しげな笑みを見せると、「…Aが可愛すぎて、明日任務に行くのが億劫になってしまいそうだ!」と杏寿郎はAの手を握る力を強める。
「私も…離れるのが寂しくて、引き留めてしまいそうです」
そう言ってAが杏寿郎に手を伸ばすと、それに応えるように杏寿郎はAを抱きしめる。
「…昨日から、こうしてばかりだな!」
「嫌、ですか?」
「むしろ好きだ!Aは抱き心地が良いし、良い匂いがするからな!」
「に、匂い?」
思ってもみなかったことを言われて慌ててAが身体を離そうとしても、杏寿郎は離す気がないらしく更に抱きしめる腕に力をこめる。
「きょ、杏寿郎さん…!」
「…ははっ、意地悪だったか?」
身体は離されないまま至近距離でそう言って笑った杏寿郎に、Aは言葉以上に強く杏寿郎の愛情を感じて、恥ずかしそうに頬を染めながら「いえ、ずっとこのままがいいです」と杏寿郎の温かい胸に顔を埋めた。
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チーズ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - よもぉぎさん» コメントありがとうございます!無限列車に乗車したんですね!私まだなんですー!煉獄さん現実に来て欲しいですよね、、更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 読ませていただきました!!煉獄さんがイケメン過ぎるし千寿郎は可愛くて お話が更新されるのを楽しみにしてます(*´ω`*)更新大変だと思いますが、無理せず頑張ってください☆ (2020年11月4日 8時) (レス) id: 010b0b49eb (このIDを非表示/違反報告)
よもぉぎ(プロフ) - はわぁ...素敵すぎます〜!!煉獄さんから愛されるなんて話数を積む事ににやけが増していきます!!無限列車にも乗車したんですがどれほど煉獄さんが現実にいたらと思ったんだろう。。更新頑張ってくださいー!!! (2020年11月4日 7時) (レス) id: 990295e7ae (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - パプピーマン。さん» コメントありがとうございます!好きすぎるだなんて嬉しいです!口角が富士山!言い回しが上手すぎて思わずクスッと笑ってしまいました、、!!関係ないですけど、今の季節の富士山はめちゃくちゃ綺麗ですよね〜(笑)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年10月30日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月8日 14時