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「もうすぐ頂上だ!」
「はぁっ、…ちょ、ちょっと待ってくださっ、」


行き先も告げられないまま、杏寿郎に連れられて来た先は高々とそびえ立つ富士山で、確かに景色はとても綺麗だが、どんどん先を行く杏寿郎を追いかけるのに必死で、Aは景色を楽しむ余裕などなかった。


「…、ふむ。少し早かったか?」
「はっ、…っ、」


息も絶え絶えになりながらAがこくこくと何度もうなづくと、Aの元へと戻ってきた杏寿郎が突然、Aの前にしゃがみ込む。


「…?杏寿郎さんっ?」
「頂上までおぶってやろう!俺もちょうど良い鍛錬になる!…いややはり、Aは軽すぎて少しも運動にはならないかもしれない!」


杏寿郎の物言いに思わず笑い声を漏らしてしまったAは、素直に杏寿郎の好意に甘えることにして、むしろ足がもう限界で、杏寿郎の広い背中に身体を預けた。


「…わっ、」


心の準備も整わないうちに急な浮遊感に襲われて、Aは慌てて杏寿郎の首に手を回す。


「相変わらず柔らかくて触り心地が良いな」
「!」
「だがやはり、まだまだ肉をつける必要がありそうだ」


そう言いながら、掴んだAの太ももの感触を確かめるように、手を握って緩めてを繰り返す杏寿郎は、先ほどまでの歩く速さも杏寿郎の中では加減されていたのだと思い知る速さで、どんどん上へと登っていく。


「やっぱり、体力がありますね…」
「そうか?鬼を相手にしていると、これでも足りないくらいだ!」
「えっ、足りないんですか?今でも全然、息すら切れてないのに?」
「鬼の体力は底無しだ!…それに比べ俺たち人間は、体力はすぐに尽きるし取れた身体は元には戻らない」


取れた身体、との言葉に、そういえば蝶屋敷へ伺ったとき、酷い怪我で全身包帯だらけの人もいれば手足が欠損していた人もいたことを思い出す。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎
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チーズ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - よもぉぎさん» コメントありがとうございます!無限列車に乗車したんですね!私まだなんですー!煉獄さん現実に来て欲しいですよね、、更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 読ませていただきました!!煉獄さんがイケメン過ぎるし千寿郎は可愛くて お話が更新されるのを楽しみにしてます(*´ω`*)更新大変だと思いますが、無理せず頑張ってください☆ (2020年11月4日 8時) (レス) id: 010b0b49eb (このIDを非表示/違反報告)
よもぉぎ(プロフ) - はわぁ...素敵すぎます〜!!煉獄さんから愛されるなんて話数を積む事ににやけが増していきます!!無限列車にも乗車したんですがどれほど煉獄さんが現実にいたらと思ったんだろう。。更新頑張ってくださいー!!! (2020年11月4日 7時) (レス) id: 990295e7ae (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - パプピーマン。さん» コメントありがとうございます!好きすぎるだなんて嬉しいです!口角が富士山!言い回しが上手すぎて思わずクスッと笑ってしまいました、、!!関係ないですけど、今の季節の富士山はめちゃくちゃ綺麗ですよね〜(笑)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年10月30日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月8日 14時

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