16 ページ17
・
「Aを娶ろうと思うのだが、どうだろうか!」
しのぶの屋敷から帰ってきてから開口一番、まるで世間話をするかのようにそう言った杏寿郎に、Aは驚いたように杏寿郎に目を向ける。
「?…俺の嫁になりたいというのは、もう気が変わってしまったか?」
大きな身体を折り曲げてAの顔をのぞき込む杏寿郎には、恥じらいや熱っぽさのようなAの求めるものは一切感じられなくて、余計に杏寿郎の考えが分からずにAは戸惑うしかない。
「…わ、私は嬉しいです。でも…」
「そうか!ではすぐにでも結納を済ませてしまおう!ちょうど明日は非番だ。Aのご両親も、その方が安心だろう!」
そうして杏寿郎の胸中は分からないまま話だけが進んでいき、次の日の朝、前日の夜に突然「Aを娶ることにした!」と話を聞いた杏寿郎の父も千寿郎も慌しく準備に追われていた。
*
「…いつから恋仲だったのですか?全然気付きませんでした…」
駅へと向かう道中、どんどん先に進んでいく杏寿郎と父の背中を見ながら小声でそう話しかけてきた千寿郎に、Aは眉を下げながら「恋仲じゃなかったよ」と返事をする。
「えっ?こ、恋仲でもないのに、突然結婚するんですか?」
「うん」
「え、Aさんはそれでいいんですか?」
「むしろ嬉しいよ。…元はと言えば、私から言い出したことだし…」
Aの言葉に大きく目を見開く千寿郎は、すぐに嬉しそうな笑顔になって「それなら良かったです。…それにしてもまさか、大好きなAさんが僕の姉上になってくださるなんて…嬉しいです」と恥ずかしそうにほんのり頬を染める。
「私も、こんなに可愛い弟ができて嬉しい。…改めてよろしくね」
「よろしくお願いします!…姉上!」
杏寿郎によく似た顔で笑った千寿郎は、Aの手を握ったかと思うとそのまま杏寿郎たちを追いかけるように走り出した。
1452人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - よもぉぎさん» コメントありがとうございます!無限列車に乗車したんですね!私まだなんですー!煉獄さん現実に来て欲しいですよね、、更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 読ませていただきました!!煉獄さんがイケメン過ぎるし千寿郎は可愛くて お話が更新されるのを楽しみにしてます(*´ω`*)更新大変だと思いますが、無理せず頑張ってください☆ (2020年11月4日 8時) (レス) id: 010b0b49eb (このIDを非表示/違反報告)
よもぉぎ(プロフ) - はわぁ...素敵すぎます〜!!煉獄さんから愛されるなんて話数を積む事ににやけが増していきます!!無限列車にも乗車したんですがどれほど煉獄さんが現実にいたらと思ったんだろう。。更新頑張ってくださいー!!! (2020年11月4日 7時) (レス) id: 990295e7ae (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - パプピーマン。さん» コメントありがとうございます!好きすぎるだなんて嬉しいです!口角が富士山!言い回しが上手すぎて思わずクスッと笑ってしまいました、、!!関係ないですけど、今の季節の富士山はめちゃくちゃ綺麗ですよね〜(笑)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年10月30日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月8日 14時