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すぐに帰らないと日帰りで戻れなくなるので、杏寿郎が買い込んだ豪勢な食事をAの両親と一緒に取るだけに留めたAたちは、名残惜しそうなAの両親に早々に別れを告げて帰路に着く。
「…申し訳ない。本当はもう少しご両親と過ごしたかっただろうに」
帰りの列車の中、そう言って眉を下げる杏寿郎に、Aは大きく首を横に振って「会えただけで嬉しかったです!」と笑みを浮かべる。
「素敵なご両親だったな!流石Aのご両親だ!」
「本当に素敵なご両親でした」
杏寿郎だけでなく千寿郎にまでそう言われて、Aは素直に嬉しくて思わず笑みが溢れてしまう。
「今日は本当に、ありがとうございました」
「こちらこそ、Aのご両親に会えて良かった。…ところで、早々に婚礼の儀を挙げようと思うが、Aはまだ心の準備が必要だろうか?」
「へ、」
驚くAの横で瞳を輝かせた千寿郎は、「Aさんの白無垢姿、綺麗でしょうね!」と声高に言う。
「Aはとても綺麗な顔立ちをしているからな!」
敢えてそうしているのか、無意識なのか、好きだとか顔が綺麗だとか普段は言わないようなことを連発されて、Aは嬉しすぎてふわふわと夢見心地な気分になってくる。
「…杏寿郎さんこそ、とても格好いいです」
食事を取っている姿が特に好きで、と付け足せば、驚いたようにAを見た杏寿郎はすぐに破顔して、「Aはいつも、嬉しいことを言ってくれるな」とAの頭に手を乗せる。
「!」
杏寿郎の微笑みは、こんなにも優しいものだっただろうか。
杏寿郎と視線を交わらせながらそんなことを考えるAは、すぐに離れていってしまう杏寿郎の手に寂しさを感じて、思わずその手を目で追ってしまう。
「…、」
もっと、といつか、気兼ねなくねだれる日が来たらいいな、と遠い未来に思いを馳せたAは、その未来に杏寿郎が隣にいることを疑う余地すらないことが、この上なく幸せなことに感じられた。
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チーズ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!期待に添えるように頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - よもぉぎさん» コメントありがとうございます!無限列車に乗車したんですね!私まだなんですー!煉獄さん現実に来て欲しいですよね、、更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年11月5日 18時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
みゆ - 読ませていただきました!!煉獄さんがイケメン過ぎるし千寿郎は可愛くて お話が更新されるのを楽しみにしてます(*´ω`*)更新大変だと思いますが、無理せず頑張ってください☆ (2020年11月4日 8時) (レス) id: 010b0b49eb (このIDを非表示/違反報告)
よもぉぎ(プロフ) - はわぁ...素敵すぎます〜!!煉獄さんから愛されるなんて話数を積む事ににやけが増していきます!!無限列車にも乗車したんですがどれほど煉獄さんが現実にいたらと思ったんだろう。。更新頑張ってくださいー!!! (2020年11月4日 7時) (レス) id: 990295e7ae (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - パプピーマン。さん» コメントありがとうございます!好きすぎるだなんて嬉しいです!口角が富士山!言い回しが上手すぎて思わずクスッと笑ってしまいました、、!!関係ないですけど、今の季節の富士山はめちゃくちゃ綺麗ですよね〜(笑)更新頑張りますのでよろしくお願いします! (2020年10月30日 11時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2020年10月8日 14時