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リュックを背負って、両手にも荷物を持つ隣のユーキ。吉野さんの所に住み着いていた間に溜め込んでいた自分の荷物を全部持っているけど、重そう…
「一個持つよ?」
「んん、大丈夫!」
へらりと笑ってそう言った。それからまた少し歩いている間に横顔を見ると、なんだか逞しくなったような、少しシュッとしたような…と考えていると、ユーキがパッとこっちを見る。
「………ごめんやっぱり、こっち持って?」
「あ、うん!」
空いたユーキの右手。その手で私の左手を握ると、
「……寂しかった、」
そう言って笑った。家に帰るまでの間、色んな話をした。吉野さんの作るご飯が美味しいこと、寝言がうるさいこと、この前はお花のラッピングが上手くできたこと、空いていた2人の時間を埋めるように、全部。
「……村田祐基、って、名前をもらったんだ」
「…うん」
「僕はAを幸せにしたかった。でも、今のままじゃ駄目だ、って…」
「………」
「…そう思ったら、Aの所にいちゃ駄目だって………Aから離れてる間、学んだ事も出来るようになった事もたくさんあるけど……でもやっぱり、Aがいない生活は心に穴が開いたみたいで…」
私だってそうだった。
隙間を埋めるみたいに仕事に集中するようにして、やっと最近一人の生活に慣れてきたくらいだし。
ふと、立ち止まり。私の顔を真っ直ぐ見つめた。少し目が潤んでて、また泣きそう。
「………帰ろう、家に」
「……うん」
前の彼とは、全然違う服を着ているし、彼自身変わった部分もあると思う。
でも私達の向いている方は同じで、帰る家は変わらないんだ。
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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時