side - k ページ28
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今の状況なら、Aが俺以外の男と会ったりしてても仕方ない。そう思いたかった。むしろそれを受け入れるくらいの余裕を持ちたかった、けど。
俺は歩み寄ろうとしてるのに、という苛立ちが勝ってしまうのは、俺がまだ子供だからなんだろうか。
『………浮気してんの?』
自分のした事を棚に上げてAにそんな事を聞いたのは、きっとお互い様という事にしたかったからというか、正当化したかったから。Aは下唇を噛んで、少し怒ったような、悲しんだような。Aのこんな顔を見たのは初めてだった。
『説明して』
『………海だって、先に言う事あるんじゃないの?』
『…逃げたじゃん、ハルは。俺はちゃんと歩み寄ったよ。俺からは逃げたくせにこんなのってどうなの?』
『………』
俺って、こんなに頭悪い事言う人だったっけ。
怖い、って目で俺を見るA。
今にも泣きそうで、少し震えてるのが掴んだ腕から伝わってくる。
わかってる。Aはそんな事絶対しないって。
自分に余裕がないからってAにも押し付ける俺はどこまでも馬鹿だったんだと思う。
『……多分私、海とはやり直せない』
『………あいつがいるから?』
そうだよ、と言って欲しかった。
浮気した男なんかいらない、海なんて大嫌い、そう言って突き放してほしかった。それなのにAはそれ以上何も言うことはなかった。
この腕時計を返したらもうきっと会うことはなくなる。本当に、おしまいになってしまう。
自分の指先を離れてAの手の中に落ちていく時計のその光景が、やけにスローモーションに見えた。
『…………ごめん、A』
今更泣いて彼女を思ったって遅い。全部全部自分が悪い。
これから先の未来、俺の隣にはずっとAがいると思ってた。でもそんな未来も叶わないものとなった。彼女は俺よりも、よく分からないフラフラしてそうな男を選んだ。彼女の見る目がなかっただけだ。いや、こんな結果になってしまったのは、もしかしたら彼女が最初に俺を選んだことが間違いだったのか。考えるほど涙は止まらなかった。
2人の2年間はあっけなく終わってしまった。
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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時