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何十件もの着信履歴、ラインの通知。
もちろん返す気にもなれず、しばらく玄関で横になったままボーッとした。やっと動く気が起きて部屋に移動して、ベッドに倒れ込む。カバン玄関に置きっ放しにしちゃったけどどうでもいい。
「………はぁーーー…….」
深いため息を吐くとガサガサと音がした。ペットの黒猫、クロがそこにいた。首を傾げたクロはゆっくりこっちに向かって、軽やかにベッドに上がった。
「……クロ…」
綺麗な黄緑色の瞳を見つめていると次第にぼやける視界。瞬く間にぼろぼろと涙が出てきて止まらない。
今度こそ上手く行くって思ってた。海は今まで付き合った男の人と全然違ったから。悪い所なんて見つからなかったから。私は海と結婚して、幸せな家庭を築いて。そう思ってた。
いつからなんだろう。いつから、海は私とは違う別の人を愛していたのだろう。最近から?私と付き合う前から?出会う前?そもそも、私は海の一番だったのだろうか。私達の2年ってこんなもんなのか。たかが2年、なんだろうか。
「……………最悪」
もう泣く事なんかないと思っていたのに。シーツを握り締め泣き続けていると、クロが「泣かないで」とでも言うように私の頬をペロリと舐めた。
上京して一人暮らしを始めて2ヶ月くらい、私はクロを公園で拾った。それからずっと一緒で、疲れて帰っても、こうして私が泣いた時も側にいてくれた。
「………もう信じれるのクロだけだよ…」
私に寄り添うように横になったクロは目を閉じた。その体を撫でていると自分も泣き疲れたのか次第に眠気が襲ってきて。
電気も付けっ放し、化粧も落としてない。
でももうどうでもいい。どうにでもなれ、そんな思いで意識を手放した。
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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時