11 ページ11
.
「A、」
「…なに」
「僕どこで寝たらいい?」
「……ソファー」
「え〜…いつも一緒に寝てたのに…」
彼はケロリとそう言った。何も悪びれる様子もなく。……今は話が違うじゃん!!
「おやすみ!」
毛布を押し付けてリビングを後にする。本当はまだ全然寝る時間でもないけど、布団に潜り込み寝室の電気を消した。
ドアの方をちらりと見るとまだ光が漏れてる。まだ起きてるのだろうか。いや、付けっ放しで寝るかも……と心配したのも束の間、漏れていた光が見えなくなった。あ、ちゃんと消して寝るんだ。じゃあいいか、と自分も目を閉じた。
.
「ん……」
毎日同じ時間に起きていると、目覚ましが鳴る前に目が覚める事もよくある。今日もそうだった。起き上がろうとしたけどお腹にガッチリと回っている腕のせいで起きられなかった。
「なんでいんの……」
後ろから私を抱き締めたままスヤスヤ眠っているユーキ。背中にはぴったりとおでこがくっつけられている。とりあえず腕を解こうと格闘していると小さな唸り声が聞こえた。
「ん………A〜…行かないで…」
「無理」
格闘の末やっと解放された、と思いベッドから降りようとしたのに、また腕を掴まれる。へらりと笑った彼に腕を引かれ、布団の中へ引き込まれた。まださっきの温もりの残る布団の中でぎゅうっと抱き締められる。
「やっぱり一緒に寝るとあったかいよね?」
きっと彼は純粋で無邪気で素直な心の持ち主なんだと思う。私も彼のような人に出会えていれば、男運ゼロの人生なんか歩まなかったんだろうか。浮気なんて、されなかったんだろうか。
細くて筋肉質な腕に抱き締められ、胸元に顔を埋めながら思う。ユーキに抱き締められると無性に安心してしまう自分がいた。海に抱き締められた時と、同じ感覚。仕事で疲れても、嫌な事があっても……って………
「……やば、仕事!!」
「ええ〜〜行かないで〜」
.
359人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時