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昔から男運は良くない方だった。
大学生になって初めて出来た彼氏は高身長で優しくて正に王子様のような人で、誰もが羨む理想の彼氏だった。
……マザコンだったけど。でも私は特に気にしてはいなかった。母親と仲悪いよりは。親を大事にしてるって訳だし。
『………キスしてええ?』
『……うん』
彼の家でいい雰囲気になって、唇が重なって。彼の手が私の服にかけられて、いざ、と言う時に彼のママからの電話。彼は私よりママとの電話を優先した。居た堪れなくなった私は黙って帰った。彼は仕切りに「なんで?」と聞いてきた。なぜ私が黙って帰ったのか理解できてないようで。結局私達は別れた。
その次に出来た彼氏は二次元が大好きで、なんで私とその人が付き合えたのかよくわからない。
『推しに似てんだよね………』
よく言われたこの言葉はすごく覚えている。私もその人の顔とかスタイルとか好きだったし良いんだけど。ただ彼は私との約束よりもイベント優先、2人でいても彼はひたすらゲーム、私は空気扱い。キスは愚かデートだってろくにしてない気がする。別れを告げても彼は黙って頷くだけだった。
『A、俺さ欲しい服あるんだけど』
欲しい○○あるんだけど、が口癖の彼はよく私に物を買わせていた。でも彼の喜んだ顔が好きだし、笑顔が見られるならいいじゃないと自分に言い聞かせて彼の欲しがったものは全部買ってあげた。
でも逆に彼が私に何かを与えてくれた事はなくて。結局私の財布が限界になって、もうこれ以上は無理と伝えると「じゃあもういい」と一言で全て終わらせて彼は私の前からあっさりといなくなった。
他にも遅刻魔、やたら俺様、自称ミュージシャン、挙げ出したらキリがない。
そんな私も、ある人に出会って全てが変わった。
『ほんとにいいの?ご馳走になっちゃって…』
『好きな女の子に財布出させる訳ないでしょ』
『……え?』
『………俺、Aが好きだよ。…Aは?』
『……私も、海くんが好きです』
今までとは違う、優しくて、いつでも私を見て私の事を考えてくれる人。
ああ、この人だ。今まで男運がなかったのは、この人と出会うためだったんだ。海くんとの交際は2年近く続いていた。
きっと私はこの人と結婚する、そう思った25歳の秋。私は彼が大好きだった。
それなのに。
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エリンギプール(プロフ) - 続きが気になります! 大変だとは思いますが、更新待ってます! 頑張ってください (2018年12月15日 23時) (レス) id: b1e7a3c80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な な . | 作成日時:2018年10月10日 23時