自分たちの覚悟 ページ39
キ｢よかった、…よかったよ、よかった…｣
｢ははっ、なんで…キヨくんが泣いてるの…笑｣
彼女が静かな涙をこぼすなか、俺は泣きじゃくった。普通逆だとは思う。それでも俺は安心感に浸っていたのだ。彼女を泣かせるやつがいなくなる。
｢…キヨくん、ありがとう。守ってくれて。｣
キ｢ううん、当たり前のこと、しただけだよっ｣
近くにあるティッシュを取り出して涙を拭いて鼻をかむ。手を拭いてから指で彼女の涙を拭う。
｢…キヨくんのおかげなの。全部。ありがとう、キヨくんっ…幸せを、ありがとう…｣
“幸せをありがとう”。その言葉を聞いて胸が温かくなる。この子を守り抜きたい。本気でそう思った。
キ｢…A。俺らの関係、正直に言おう。隠して付き合うのはお互い無理があるし、万が一バレた時変に騒がれる方が嫌だし。…俺は覚悟、あるよ。｣
怖いことも確かにある。けど、それで視聴者に黙っている方が嫌だ。もちろんこの関係を否定されるのも想定内だ。そういう人たちだってきっといる。
｢じゃあ、キヨくん。私の覚悟、聞いてくれる…？｣
キ｢うん｣
｢それを発表すると同時に、仮面を外す。｣
俺はその言葉を聞いて開いた口が塞がらなかった。初投稿時から外したことのない、猫の仮面を外す…？
｢いつかは外したいと思ってた。正直大変なことの方が多くて…。だから、これを機に外す。｣
キ｢そっか、うん。Aの覚悟を否定するつもりはないし、本人が決めたことだもん。｣
｢ありがとう。あとはどう公表するかだね…｣
公表の仕方、か。生放送でやるのはさすがに怖いし、そうなると実写動画？付き合ってます報告と、画面外しての活動報告を同時にするとなると…
キ｢やっぱり、実写動画…？｣
｢そうだよね、うん。…怖いけど、キヨくんと居れるなら頑張ってみる。｣
キ｢…！…ありがとう。｣
俺は彼女の左手を取り、指を絡める。そしてそのまま自分の口元に持っていき、薬指にキスをした。
キ｢こっちも、覚悟しておいてよ｣
｢…っ…！！カッコよすぎなんだって…｣
彼女は頬を赤く染め、俺の胸元へと顔を埋めた。
キ｢俺はAのことを手放すつもりもないし、生涯かけて守りたいって、本気でそう思ってるから。｣
｢私だって、キヨくんと幸せになりたいよ。私が心から想ってる人だから、ね？｣
キ｢可愛らしい｣
この日は結局お泊まりしてもらった。俺らは今の幸せを噛みしめながらベッドで眠りにつく。
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作者名：まい | 作成日時：2020年12月12日 19時
