お互いを思いやる気持ち ページ34
友人に彼女が出来たことを打ち明けた次の日の夜。彼女から連絡が入っていたことに気がつき、編集の手を止めて彼女からの連絡を開く。
そこには“電話したいな”、とだけ打たれていた。
思わず口元が緩み、浮かれながらも電話をかける。
「もしもしキヨくん?」
キ「うん。どうしたの?」
「いやぁ…ちょっと仕事で、疲れちゃって」
会社の話を諸々聞かせてもらう。俺には分からないような世界で、未だに驚きを隠せないこともある。
キ「その男、怖いね…」
「うん。めっちゃしつこいの。打ち合わせでもやたらと執着してくるのが本当に怖くて…。気が合わないから余計に辛いというか、なんというか…。」
彼女の声のトーンから、本気で嫌がっていることが伝わってくる。俺も正直不安だ。大切にしたい彼女が変な男に絡まれているなんて、誰もいい気はしない。
「だからキヨくんと、お話したくなっちゃったの。忙しい中ごめんね?声、聞きたくて。」
キ「いやしゃるとの方がどう考えても忙しいでしょ?俺はほとんど暇だし、いつでも連絡してよ」
「んふふ、ありがとう。やっぱりキヨくんが1番いい。まだ付き合ってそんなにたってないのに、不思議なくらいに信用してるんだ。キヨくんが初めてだよ。」
そんなことを言われれば気分は舞い上がるに決まっている。この前会ったばかりなのにもう会いたい。
キ「俺も。こんなに幸せなことはないってくらいには幸せ。…なんか、照れくさいよね…笑」
「んね笑…なんかキヨくんと話しただけで頑張れるような気がしちゃうよ。でも明日も会社だし…」
彼女いわく、企画のリーダーを任されたとのこと。なかなか凄いことだとは思うが、両立は難しいみたい。
キ「とにかく、その男には気をつけてね?絶対だよ?」
「うん。気をつける。」
そういえば、彼女に伝えなきゃいけないことがある。
キ「あと俺ね、TOP4にしゃるとと付き合ったこと報告したの。最俺の奴らにも報告しようと思ってる。」
「うん。私も会社に正式に報告するか悩んでる。」
キ「あとは、やっぱり…世間体、だよね。」
俺がそう口にすれば彼女を同じことを考えていたようで、同調の声が聞こえてくる。
「でも私、これでアンチとかされてお互いが仕事に影響されるようなら黙ってるべきなのかなって思うけど、隠れて付き合うのも少し嫌なんだ…。」
キ「…そう、だよね」
結局この日は公開するかどうかを決めることは出来なかった。それだけお互いが大切な存在でもある。
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作者名:まい | 作成日時:2020年12月12日 19時