託したい企画 ページ31
しゃるとサイド
｢お疲れ様ですー｣
仕事場に顔を覗かせると、すぐ気がついた編集長が私が担当した雑誌を持ちながら笑顔で駆け寄ってくる。
編集長｢猫宮ちゃんお久しぶりー！この前の猫宮ちゃんが編集した雑誌、売れ行きいいみたいよー？｣
｢え、ほんとですか？嬉しいです！｣
編集長｢ダンサーとしても編集社員としても凄いわね｣
｢い、いえ！そんなことは…｣
編集長はにこやかに私の事を褒めてくれた。褒められることの喜びを知ってしまった私は、これからは照れを隠すことは出来なさそうだな、なんて。
『…猫宮先輩、なんか今日香り違います？』
｢え？｣
『あぁいえ！決して変な意味ではないんですけど、なんかいつもと香りが違う気がして…』
その後輩ちゃんは周りからからかわれているが、私はその香りが気になって洋服の匂いを嗅いでみた。確かにいつもと違うような気もするけど…
『Aちゃんもしかして…彼氏ぃ〜？』
｢……あっ！｣
そうじゃん！キヨくんのお家に泊まったからじゃん！それにあれだけ抱きしめてもらってたらキヨくんの匂いつくよね！？え、でもそんなに残るもんなの！？
『え！先輩心当たりあるですか！？』
編集長｢あら、いいわねぇ〜きゅんきゅんしちゃう｣
｢いやぁ…はは、｣
彼氏が出来ました。なんて正確に言ってしまってもいいのだが、私とキヨくんの関係は明らかにしていいものか、躊躇ってしまった。情報が漏れたら怖い。
『えぇ〜俺猫宮ちゃん狙ってたのに〜笑』
｢先輩、お世辞は結構ですよ！笑｣
編集長｢あんたは口説いてないで仕事仕事！｣
『ひぇ〜、すみませ〜ん…笑』
そう言って先輩は自席に戻って行った。その様子を見て呆れている編集長。まぁそうなりますよね。
編集長｢でね！今日猫宮ちゃんを呼んだのは理由があって、まずこのプリントを見てほしいの。｣
編集長から渡された数枚のプリント。そこには“乙女の理想！胸きゅんストーリー”なんて書かれていた。
｢…これ、なんですか？｣
編集長｢単刀直入に言うとね、猫宮ちゃんにはこの企画のリーダーを務めてもらいたいの｣
｢リーダー、ですか！？｣
編集長｢貴方に才能があることは分かってる。だからこそ！貴方に託したいのよ！｣
編集長いわく、先日の私が担当したページが割と好評だったらしい。そのため上から企画のお誘いを受けたのだという。なんともまぁすごい話だ。
編集長｢どうかしら、貴方にピッタリだと思うのよ｣
｢そう、ですか…｣
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作者名：まい | 作成日時：2020年12月12日 19時
