幸せに包まれて。 ページ30
幸せに包まれて眠りについた俺が目を覚ましたのは、朝の10時だった。昨日は自分としては早めに寝たから少し早い起床だけど。ふと、隣を見ると幸せそうに眠る彼女の姿があった。
キ｢…かわい、｣
彼女の口元は僅かに上がっていて、すごく心地よさそうに眠る彼女が言うけど愛おしい。
｢んんーっ…｣
頭を撫でるために動かした腕に違和感を覚えたのであろう。彼女は小さく声をあげた。
｢きよ、くん…｣
キヨくん、と呼ぶその言葉が全て平仮名に聞こえる。寝起きはなんだか幼くてギャップ萌えってやつだ。
キ｢起こしちゃった？ごめんね｣
｢ううん…大丈夫です…んふふっ、｣
キ｢なに？笑｣
｢起きた時に…好きな人が隣に居てくれるって、すっごく幸せだなぁって…思って｣
そんなことを言われてしまえば、少し照れくさくなってしまう。それを無邪気な笑顔でからかわれてしまえば、もうこちとら胸がおかしくなりそうだ。
｢可愛いですね、キヨくんは｣
キ｢可愛くねぇし、タメ抜けてるよ？｣
｢ぁ、忘れてた。ねぇ、キヨくん。私ね、本名名乗ってないでしょ？だから教えようと思って｣
抱きしめる距離がふと近くなる。俺のじゃない、彼女のふわっとした甘い匂いがしてくらくらしそう。
｢…猫宮 A。Aって、言うの。｣
キ｢A…｣
｢うん。呼びにくかったら、しゃるとでいいよ。｣
猫宮A。そう心の中で何度も復唱する。A、か。すごく彼女にあってるような気がする。
キ｢しゃるととも呼ぶし、Aとも呼ぶ｣
｢やった、｣
喜んだあとに、体を起こす彼女につられて体を起こす。パジャマが大きいのか首元をくっと直している。
キ｢A、耳貸して？｣
__× × ××。
｢…！！｣
キ｢俺の本名も、覚えておいてよね。でも、いつもと変わらずキヨくんでいいからさ。たまに、呼んで？｣
｢うん！確かにキヨくんの方が呼びやすいかも？笑｣
キ｢慣れってやつ？俺もしゃるとの方が呼びやすい笑｣
これはお互いが表に出て活動してるからって言うのもあるけど、ある意味これも特別感というか。
｢朝ごはん、作ってもいい？｣
キ｢あれ、材料あったかな…｣
｢…頼む…？笑｣
キ｢そーしよ。あと仕事行くんでしょ？大丈夫？｣
本当は、一緒に居たい。まだまだ足りないくらい心が寂しい。ここまで満たされたのが久々だからかな…
｢キヨくんといたいから、服は昨日ので。メイクだけするために一旦帰る。いいの？｣
同じことを考えてる。それだけで嬉しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まい | 作成日時：2020年12月12日 19時
