彼女の辛い過去のお話。 ページ23
キヨサイド
次の日の夜に家の扉を開いた。この前と変わらず、今日も彼女は可愛かった。けれど、どこか疲れているような表情にも見えたけど…。
｢こんちには、キヨさん。度々すみません…｣
キ｢ううん大丈夫だよ、あがって。｣
お邪魔します、という落ち着いた声。そして玄関先では靴を揃えている。当たり前なんだろうけど、そういうしっかりしたところにも魅力を感じた。
キ｢綾鷹しかないんだけど…｣
｢お気になさらず！綾鷹、頂いていいんですか？｣
キ｢うん、むしろ綾鷹しかなくてごめんね｣
遠慮がちに首を横に振った彼女は、キャップを開けて1口、口をつけた。その唇はキラキラしている。
キ｢でさ、いきなり本題になっちゃうけど…｣
テーブルの対面に座って恐る恐る彼女の方を伺うと、彼女の表情は変わりなかった。
キ｢あのあと、その男から何かされてない…？｣
｢…時々家の扉叩かれたり、この前は変な手紙まで送られてきました。気味が悪いですけど…。｣
キ｢そ、っか…。直接何かはされてない？｣
｢…されてないです。｣
その言葉と同時に気がつく。彼女は嘘をついている。
キ｢嘘だ。｣
｢っどうしてキヨさんには…嘘つけないんですか…笑｣
彼女は苦笑いした。俺は何年も応援してきてるんだ。なめられたら困るし、嘘つかれるのも正直辛い。
｢あの後1度だけ家に入られて…多分、帰りを狙ってたんですよね。ストーカーみたいな、そんな感じです｣
キ｢警察には…？｣
｢彼いわく、絶対言うなって。お前の為に俺はやってるだから。って繰り返し言うんです。｣
声が震えていた。こんなにも小さな彼女が大きな悩みを抱えていたのだと思うと、俺的にも心が痛くなってくる。そんな最低な男いるのかよ…。
｢…そんな人と付き合っていたと思うと、怖いです。あんな人のために時間を使っていた私が馬鹿みたい｣
キ｢なんか一時期、活動が停止したみたいな噂あったけど…それもその影響だったり…？｣
彼女が成人してまもない頃、活動が一時期停止したみたいな噂が流れていた。しばらくしたら活動が再び再開されたから、丸く収まっていたけど…。
｢酷い話、監 禁みたいなことされてたんです。彼の家に。だから個人として何も出来なくて…自力で逃げだしたんですけど、そのせいで今も追ってるのかと…｣
キ｢立派な犯罪だよ！？｣
｢…この話、黙っていてもらえますか…？これが世間沙汰になると、私…殺されちゃうのかもしれない…｣
キ｢…は…？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まい | 作成日時：2020年12月12日 19時
