甘い雰囲気 ページ16
しゃるとサイド
本来ならば、まだ彼に話すような事ではない。
それくらい分かっていた。けど、少し限界が近い。
私は初対面の相手をここまで引き止めたのは
初めてだった。寂しさを埋めたかっただけ?いや、
単純に彼といることが楽しいからなのかな。
2人で食事を初めてすぐ、彼は私の料理を美味しいと
褒めてくれた。野菜嫌いでも全然大丈夫!と言って
美味しそうに食べてくれた。思わず笑みがこぼれる。
キ「?どうしたの?」
「嬉しいなって、思って。」
あの人はただ、黙って食べる。それだけ。
時には文句を言って残すこともたたあった。
不味い飯食わすなとまで言われたこともあるし。
キ「本当に美味しい。毎日食べたい。」
「へ?」
キ「え、あ、いや!変なつもりじゃなくて!!」
顔を真っ赤にしてまで照れている彼は可愛らしく私の
目には映った。そこまで褒められると、照れくさくも
ある。毎日食べたい、だって。嬉しいな。
「毎日でもいいですよ」
キ「え…?」
「ふふっ、なんちゃって。」
キ「…心臓に悪いっす、…」
たった一日で、彼の一面をたくさん知れた気がする。
動画とのギャップがすごいし、優しいところもある。
それに、嫌いな野菜入っていても美味しいって食べて
くれた。そして、意外と単純であること。
本当はご飯の時に話そうと思ったけど、少し躊躇って
しまったのと、彼が美味しそうに食べてくれる姿を、
目に焼きつけたくて話せなかった。
2人でごちそうさまをしたあと、食器をキッチンへと
運ぶ。彼も当たり前のように手伝ってくれた。
キ「しゃるとちゃんって少食?」
「まぁそうですね、私人より胃袋が小さいみたいで。
だからか平均体重だいぶ下回ってて…笑」
胃袋だけではなく、臓物全体が小さいみたいだけど。
だからよく体格が薄いとか小柄とか言われるんよな。
キ「そうなんだ、まぁ人のこと言えないけどw」
「キヨさんこそ身長のわりにはって感じがすごいです
よね…スタイルいいですし!」
キ「ありがとw…なんか照れくさいわw」
食器洗い終わってからまた談笑をして盛り上がり、
結局、私はあの人のことを話せずにいた。
だけどもう、遅くなってしまったから仕方がない。
「…キヨくん、やっぱり、まだ話すのは怖い…。聞い
てくれって頼んだのに…自分勝手でごめんなさい…」
キ「ううん。いつか、話してくれたら嬉しい。俺は、
いつでも待ってるから。これからも仲良くしてね?」
_嗚呼、彼はどこまでも甘い男性だ。
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作者名:まい | 作成日時:2020年12月12日 19時