コミュニケーション能力 ページ13
｢あっ、ぃや…いないですよ、もう。｣
『前の人もいい人だったと思うけどねぇ』
｢そう、ですかね？｣
明らかに動揺してる。辛そうな顔を見ているのが嫌で
俺はおばさんに途中でその話が終わるように、自然と
予定があると嘘をついて2人でその場を離れた。
｢…すみませんでした…｣
キ｢いや、何だか辛そうでしたから…｣
｢…色々、あって。あ、どうぞ！あがってください！｣
キ｢お邪魔します。｣
靴を並べて家へとあがる。正直その話は気になるが
他人の俺が首を突っ込んでいいような話ではないなと
判断してその事については何も聞かなかった。
キ｢綺麗な部屋ですね。｣
女の子らしい、というよりかは、モノトーンな部屋
だった。物も綺麗にまとめられて、片付いて見える。
観葉植物や、可愛らしいぬいぐるみはあるけど。
｢嬉しいです。あ、座ってください？｣
女の子の部屋。そう考えるだけでもいっぱいいっぱい
なのに、推しの部屋にいるんだぞ？俺は…！
｢飲み物、お茶でいいですか？｣
キ｢あ、はい…！｣
｢ペットボトルのままですみません｣
しゃるとちゃんは500mlの俺が好きなお茶を渡してく
れた。これ、自惚れてもいいのか。…なんてな。
｢キヨさん、このメーカーのお茶好きなイメージが
強かったので買っておきました笑 いいですか？｣
キ｢ありがとうございます！笑｣
…自惚れて仕方ないじゃん。これは。むしろ好感度が
自分の中でさらに上がっている。可愛いな。
｢…やっぱり、SNS上とリアルで会話をするのって
感覚的には全く違いますね。｣
キ｢初対面ですからね。一応笑｣
｢友達からもよく言われるんです。心を開くまでが
早すぎるから危機感を持ちなさい！って。｣
キ｢確かに初対面で家にお邪魔させていただくなんて
思ってもいませんでした笑 でもそれはしゃるとさん
なりの優しさなんだなってしみじみ思いましたよ笑｣
しゃるとちゃんは俺と外で会うことで誤解をうまない
ようにと家にあげてくれた。それはしゃるとちゃんの
優しさであり、気遣いでもあるんだろう。
｢…キヨさんこそ、優しい方なんですね。動画との
イメージが全く違うのは知っていたんですけど、
目の当たりにすると改めて驚きます笑｣
キ｢オンとオフの差がすごいので笑｣
｢とても礼儀正しいのもギャップですね！笑｣
なんだ。わりと喋れるじゃないか。いや、これは
しゃるとちゃんのおかげだな。なんて思いながら
部屋を見渡すと、コントローラーが目に止まった。
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作者名：まい | 作成日時：2020年12月12日 19時
