片恋シンドローム２〈 Ren.M 〉 (ページ8)

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◎ それは突然にページ8

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side 🖤

おはよーございまーす、なんて康二の間延びした暢気な声が楽屋に響いた。その声に1番に反応したのは昨日関西での仕事を終えてこっちに戻ってきたばかりのAで、康二に駆け寄っていった。

「こじこじ～」

「おー！おかえり！関西の仕事どやった？」

「楽しかったよー！」

「よかったなぁ。末と会ったん何年ぶりやったん？」

「ん～それこそデビューしてから会ってなかったから……3年ちょい？」

会って早々、末澤くんの話をし始める2人。Aの声のトーンが明るくて嬉しそうで、ちょっとやだ。

「ほーん。Aちゃんと末ってほんまに昔っから仲ええよなあ」

「わたしが入所した時から面倒見てもらってたからねぇ」

「小中学生時代のAちゃん知っとる貴重な人物やからな！まあ俺もやねんけど！」

元々2人の仲がいいことは知っていたけど昨日のブログにしろ今の話にしろ、羨ましいって思わないわけなくて。
Aは高校生になるまでずっと関西にいたから、俺が会えるのなんてAがたまに東京の方に来ている時くらいだった。俺はギリギリAが中学生の時には出会えていたけど、それより前に末澤くんや康二が出会っていたと思うと……あー、駄目だ。考えたくない。

「わたし初めて誠くんと話した時恋愛漫画に出てくる主人公みたいって思ったんだよね」

「え、なんで？」

「初めて話した時ね、多分ダンスが上手く踊れなくてわたしが泣きじゃくってたの。他の子たちはなんで泣いてんだよみたいな顔してたんだけど、その時中学生？だった誠くんが『何泣いてるん』ってわたしに近寄って声掛けてくれたの」

「えー！なんそれ！ヒーローやん！」

「それでね、『別に泣くほどひどなかったで。むしろ俺の方が泣かなあかんレベルやのにおまえが泣くなって』って言って服の袖でごしごし涙拭ってくれたんだ～」

「漫画やったら初恋するやつやん！」

「………危なかったよね正直(笑)」

「え、何その間！ガチのやつ？」

「へ、いや、ちがっ……う……」

A、自分が正直すぎて嘘が下手ってこと知っておいた方がいいと思う。絶対好きだった時あるじゃん。あーあ、好きな子の初恋話なんて聞きたくない。俺だってAの涙拭ったこと数え切れないくらいあるのに。