片恋シンドローム２〈 Ren.M 〉 (ページ41)

今日:29 hit、昨日:54 hit、合計:204,447 hit

◎ ミルキーウェイでくちづけをページ41

.

「うわー、曇っててなんも見えねぇ」

「わ、ほんとだ」

わたしの誕生日の夜、蓮くんのお家のベランダで夜空を眺めてみた。あいにくの曇り空で、月も星も見えなかった。それでも誕生日で、しかも七夕の夜ってなんだか特別感がある気がして心が弾んでいた。

「ふふ、でも雲の向こうで織姫と彦星はちゃんと会えてるんだろうなぁ」

「なんで？」

「だって年に1回しか会えないもん、誰にも見られないで2人だけでくっついてたいんじゃないかな」

「あー、隠れて会ってんだ。俺Aのそういう考え方大好き」

わたしの隣にぴったりひっついて夜空を眺めてる蓮くんの横顔が当たり前だけど綺麗で、目が離せなくなった。
誕生日って言っても仕事は今日も変わらず忙しくて、仕事終わりに蓮くんの家でコンビニのケーキを2人で食べることしか出来なかったけど、幸せだった。蓮くんがメンバーとしてじゃなく、恋人として欲しかった香水もプレゼントしてくれたし。

「なぁにずっと俺の顔見てんのっ」

「かっこいいなぁって思って……へへ」

「そんなに褒めてもちょっといいケーキしかご馳走出来ないよ」

「え！食べたい！」

「ふはっ、今度2人でゆっくり出来る時に改めてちゃんとお祝いしような。その時に買ったげる」

子供にするみたいに、頭をくしゃっと撫でられた。今日だけでも充分なくらいなのに、これ以上にお祝いしようとしてくれてることが嬉しくて胸がじんわりと温かくなっていく感覚がする。

「キルフェボンでもいい？」

「いいよ。Aが食べたいやつにしてくれたら俺はなんでもいい」

「え～……もう、蓮くんやさしすぎるよ……」

「Aに好きでいてもらいたいからね、そういう作戦だよ」

そういう作戦だって種明かししちゃうところも蓮くんらしくて好きだなぁって思う。そんなことしなくてももう後戻り出来ないくらい好きなのに。

「じゃあわたしは何してたら蓮くんにずっと好きでいてもらえる？」

「ん～、Aはただ生きてるだけでいいよ。存在してるだけで俺はAのこと好きでいられる」

「なんかファンの子みたいなこと言ってる(笑)」

「でも本当だし(笑)AはAのままでいてくれてたらそれで充分」

蓮くんの言葉ひとつひとつが、優しく胸に滲みていく。ありのままのわたしを見せることはまだ恥ずかしいけど、蓮くんにはすこしずつ見せていきたいな。