片恋シンドローム２〈 Ren.M 〉 (ページ33)

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人通りの少ない静かな廊下で壁にもたれかかる亮平くんとわたし。落ち着くのには最高の場所だけど、静けさのせいで蓮くんのことを考えたくなくてもぐるぐると考えてしまう。

「Aちゃんって意外と嫉妬深いのかもしれないね。前の取材で嫉妬深いか聞かれた時はわかんないって言ってたけど」

「そう、なのかな……嫉妬深いのってめんどくさいよね、蓮くんに嫌がられたらどうしよう……」

「こら、後ろ向きに考えないの。めめはそんな人じゃないでしょ？」

「…うん」

恋ってこんなに大変なものだったっけ。最後に恋をしていた時の感覚さえ忘れてしまったけど、こんなに心を揺さぶられるものなんだ。
蓮くんってずっとこんな感情だったのかな。だとしたら、きっと心がへとへとになったこともあるかもしれないのに懲りずにわたしのことを好きでいてくれたのかもしれない。

「わたし、蓮くんのこと待たせすぎちゃってるよね」

「まあ、そうだね。でも待つって決意したのはめめなわけだし、Aちゃんが気に病む必要はないよ」

でも待つのも疲れちゃうに決まってる。わたしが気づくのが遅かったから、もう蓮くんの心はあのスタッフさんに向きかけてるかもしれない。そう考えたら、視界が水面にいるみたいに揺らめき始めた。

「えぇっ、泣かないでよAちゃん！」

「まだ泣いてないもん……っ！」

「そうだけど、多分1回まばたきしたら涙溢れちゃうよ」

おろおろしてる亮平くんはまだ泣いてないって言ってるのにもうポケットティッシュを取り出して準備をしている。絶対泣かないって意地を張ってると、部屋から出てきた蓮くんとスタッフさんがこっちに歩いてくる。

「2人ともおつか……え、A大丈夫？なんかあった？」

「なにもない……っ」

「でも泣きそうな顔してんじゃん。どうしたの」

「……めめもう帰るの？」

「ううん、今からご飯行こうと思ってる」

わたしが泣きそうになってる理由も知らない蓮くんは視線も正直だから、そう言いながら隣にいるスタッフさんに目を向けていた。あぁもう、全部いやになった。

「もういい……、はやく行っちゃえ……っ！蓮くんなんてだいっきらい……！」

「え？待って、」

「ちょ、Aちゃん！」

蓮くんの近くにいるのも辛くてその場を走り去った。とにかく距離を取りたくて廊下を走っているとどんっと誰かにぶつかった。