片恋シンドローム２〈 Ren.M 〉 (ページ20)

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別の車で現場にやってきた他のメンバーとも合流して、撮影や取材をこなしていく。途中何度かふらついたりすることもあったけど、誰にもバレることなく終えることが出来た。……はず。
どんどん熱くなっていく体を少しでも冷ましたくて、冷たい飲み物を買いに自販機が置いてある場所に行った。ちょうどスポドリがあったから買うと、足の力が抜けたようにその場に座り込んでしまった。

「やっぱり体調悪かったんだ」

後ろから声が聞こえてなんとか振り向くと、そこには少し険しい顔をした蓮くんがいた。バレてないと思ってたけどバレてた。どうしよう、心配かけちゃう。早く立ち上がって元気だよって嘘つかなきゃ。そう思っている間にも蓮くんはわたしの傍に同じように座り込んだ。

「Aは演技上手だもんね、騙されるとこだった。嘘は下手だけど」

「……蓮くん」

「ん？辛い？それ貸して、開けたげる」

わたしの持ってたスポドリを蓮くんに手渡すとキャップを開けてわたしの口元に持ってきてくれた。とりあえず1口だけ飲み込んだ。蓮くんはずっと背を優しく撫でてくれていて、それだけで少し良くなった気がしてくる。

「A、このあと仕事は？」

「んーっと……雑誌の撮影1本かなぁ……」

「じゃあ俺今日はこれで仕事終わりだから着いてく」

「へ、」

「立てる？とりあえず戻ろっか」

有無を言わさず話を進めていく蓮くんについていけず、蓮くんに支えられながら立ち上がったわたしはゆっくりと楽屋へ戻る。だいぶ蓮くんの方に体重をかけてしまっているのに彼はびくともせず、わたしの腰に手を回して支えてくれていた。

「香坂さん、このあとのAの仕事俺も着いていきます」

「あーもう決定事項なのね……わかったわ」

「え、なんでなん？なんかあったん？」

「いや、俺がこのあと暇だからAの撮影見に行きたいだけ」

蓮くんの発言を不思議に思ったこじこじが尋ねてきても、わたしが隠しておきたいことを汲み取ってわざわざ嘘をついてくれた。蓮くんの優しさに感謝しながら次の現場に行くために荷物をまとめた。

「じゃあ次行くからお先です～」

「お疲れー。仕事終わったらちゃんと飯食って寝ろよ」

あ。ひーにもバレてた。みんな口々にお疲れーと言ってくれる中、わたしはひーと目を合わせてなぜか会釈してしまった。