片恋シンドローム２〈 Ren.M 〉 (ページ12)

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蓮くんって天才かもしれない。出来上がったハンバーグといい感じにかかったデミグラスソース(しかも手作り)を見てそう思った。

「おいしそうすぎる……はやく食べたい……！」

「はい、じゃあこのお皿向こう運んで」

「はーいっ」

ハンバーグの乗った2人分のお皿をローテーブルに持っていく。においに釣られたのかモコちゃんも近くに寄ってきた。そうだよね、食べたいよね……モコちゃんに食べさせられないことにちょっと胸が痛む。

「Aお酒飲む？チューハイ何本かあるけど」

「え、いいの？飲む！」

そう言うと蓮くんはわたしの好きなぶどうチューハイと自分の分のビールを持ってきた。そのまま2人で向かい合って座っていただきますをした。フォークを手に取ってハンバーグを割ってみると中からじゅわっと肉汁が溢れてくる。数回ふーふーしてから口に運ぶと、お店？って感じの美味しさでほっぺが落ちそうになる。

「おいひ～……！しあわせ……」

「よかったー。俺も食べちゃお。………ん！うま！」

「蓮くんすごいよほんとに！」

「俺Aの胃袋掴めた？」

「今すっごい鷲掴みされてるよ」

「うわ、なんか痛そう」

わたしが食べたいって言ってから本当に練習してくれたのかな。蓮くんの健気さと優しさにちょっと心配になるけどやっぱり嬉しさの方が勝つ。
ぷしゅっ、とチューハイのプルタブも開けてお酒も喉に通した。贅沢すぎる……！

「Aほんとに幸せそうに食べてくれてるから俺も嬉しい」

「だっておいひいもん」

「ふは、かわいいけどゆっくり食べてね」

ふと前にいる蓮くんを見ると慈しむようなまなざしでわたしのことを見つめて、たぶん彼が星を見る時と同じくらいの優しい顔を向けられていた。それに気づいた途端時間が止まったように咀嚼していた口が動かせなくなった。
蓮くんがわたしのことを好きだって聞いても嘘だと思っていた。嘘だと言い聞かせていたけどこんな表情を見せられてしまったら嫌でもわかってしまう。

「………どうしたの、俺の顔じっと見て」

「ぇ、あ、なにも、ない……です」

きっと蓮くんは本当に、わたしのことが好きなのかもしれない。