片恋シンドローム〈 Ren.M 〉 (ページ38)

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目黒くんを先頭に、3回ノックをしてドアが開かれた。さっき康二くんで緊張解けたと思ったけど全くそんなことはなく、心臓が痛いくらい脈打っていた。

深「おー！来た来た！いらっしゃい！」

佐「わ！4人とも揃って来てくれたんだ！」

明るくお出迎えしてくれたのは深澤くんと佐久間くんだった。それにちょっとほっとしながら、静かに中に入った。

岩「それで、決めてくれた？」

岩本くんのその言葉を合図に3人は各々の想いを口にしながらも最後には加入する旨を伝えていた。必然的にわたしの番も回ってくるわけで、9人分の視線がわたしに突き刺さる。

岩「東雲ちゃんは？」

「わたし、は……」

怖くて前を向けない。緊張して声が震える。そんなわたしを見かねた岩本くんがゆっくりでいいよ、と声をかけてくれたことに少しだけ救われた。

「わたしが加入したらきっと…皆さんの重荷になってしまうと思うんです…」

宮「どうして？」

「周りの方たちから言われるんです……女の東雲が入ったらグループは終わりだ、売れないって。わたしは足枷にしかならないので絶対に皆さんのデビューの邪魔をしてしまうことになります……っ」

わかっていたことだけどいざ口にすると涙が溢れそうになった。でもそんなのかっこ悪くていやで、必死に堰き止めた。
静寂に包まれた空間。でもわたしのせいで重くなった空気を振り払ってくれたのはやっぱり6人だった。

深「女の子だからって何？そんなの売れない理由にならないよ」

岩「言ってるやつには勝手に言わせときゃいいんだよ。むしろ俺らは東雲ちゃん大歓迎だよ」

渡「売れないのを東雲さんのせいにするやつなんか放っとけ。ジャニーズのグループに女の子がいるとか強みにしかなんなくね？唯一無二じゃん」

宮「翔太の言う通りだよ。東雲さんが今の立ち位置に甘えることなくずっと努力してきたことは滝沢くんからも聞いてるし、足枷になるなんて思えない」

作「東雲ちゃん歌もダンスもめちゃくちゃ上手いんだよね！？かっけー！俺らと一緒にデビューしようよ！」

阿「でも東雲ちゃん、演技のお仕事も多いって聞いたからそっちを大事にしたいなら無理強いはしないけど……俺たちは一緒に活動したいな」

彼らの言葉でわたしの躊躇いや不安なんて最初からなかったかのように綺麗に消え去っていった。

岩「東雲ちゃんはどうしたい？」

またわたしに9人の視線が向けられる。でもそれが全部温かく感じて、今度は全く怖くはなかった。