片恋シンドローム〈 Ren.M 〉 (ページ35)

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◎ 君限定ヒーローページ35

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「大ちゃんおつかれ」

「ん、Aもお疲れ！」

ドームツアーに向けてのレッスンもいよいよ佳境に入ってきたある日。いつもはレッスンが終わってもスタッフさんに帰れって言われるまでメンバーと話してるAが、今日は真っ先に出ていった。
その様子を見て違和感を感じたのは俺だけじゃなかったみたいで。

「Aちゃん珍しいねぇ」

「疲れてたんとちゃう？忙しそうやし」

「にしてもじゃね？なんかくらーい顔してたし」

今日一緒にレッスンしてたラウと康二と翔太がそんな会話を交わしていた。なんかやな予感。

「俺ちょっと行ってくる！」

「え、ちょ、佐久間くん？！」

びっくりしてるラウの声を背にAを探すためレッスンルームを飛び出した。Aがいそうなところを走り回るけどなかなか見つからない。ほんとにもう帰っちゃったのかな、とか思いながら探していると、ある部屋からすすり泣く声が聞こえた。この声は間違いなくAだ。

「A！！！」

勢いよくドアを開けると驚いたのか一瞬泣き止んできょとんとした顔のA。俺だと認識した途端また涙がぶわっと溢れ出てきた。

「だいちゃん～……っ！」

「どした！なんかやなことあった！？」

泣きじゃくるAに駆け寄って隣に腰を下ろした。
泣いてるA、久しぶりに見た気がするな。最近は毎日笑顔で過ごしてたから俺もちょっとびっくり。

「どうしよう……、覚えることいっぱいで覚えられるか不安だよ～っ……！うぅ……っ」

「そっかぁ……A演技の仕事もいっぱいあるもんな。それに加えてライブのことも覚えなきゃいけないし大変だよなぁ………」

俺の言葉に頷きながらぼろぼろと泣き続けるA。泣き顔もかわいいって何事？ってヲタクの佐久間が顔を出しそうになったけど頑張ってねじ伏せた。

「全部一気に覚えようとしなくていいからさ、1個1個丁寧に覚えていこ！スノのことに関してはAが覚えられなくても俺らが覚えてるし忘れたらいつでも聞いてくれていいからさ！な？」

「ぅう、だいちゃんありがとー……っ！」

「おーよしよし、いい子いい子！Aは頑張り屋さんだね！」

「だいちゃんさっき入ってきたときヒーローかとおもった……」

「まじ？俺主人公？！」

「うん、かっこよかった……！」

っしゃ～！レッスンルーム飛び出してきてよかったー！
にしても珍しく後ろ向きなAを見ると出会った頃を思い出すなぁ、とか思ったり。