片恋シンドローム〈 Ren.M 〉 (ページ32)

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それからというもの、わたしと蓮くんが話していると必ず間に帆乃ちゃんが入ってくるようになった。それだけじゃなくて、よく帆乃ちゃんから蓮くんの方に行くことが多くなったように感じる。
今だってそうだ。

「目黒さんクッキーお好きですか？買ってきたので食べてください！」

「え？あぁ…ありがとうございます……」

確実にアイドルとスタッフって感じじゃない距離感になんだか胸のあたりをぎゅうっと掴まれるような、そんないやな感覚がした。なんだろうこの感覚。

「姫大丈夫？」

「あ、涼太くん……」

「最近一緒にいること多いね、あの2人。というか西宮さんの方から近づいてるのか」

「スタッフさんと仲深めるのも大事だもんね」

「嫌じゃないの？」

「……わかんない」

「………そっか」

それから涼太くんはわたしを心配してか、ずっと隣にいてくれた。こういうとこだよね、舘さまって。結婚したら幸せにしてくれるんだろうな～、とかぼんやり考えてみたり。

その日の帰り、蓮くんも帰り支度をしていたから一緒に帰りたいなと思って声をかけようとした。

「蓮くん」

「ん？」

「一緒にかえ「目黒さん！今帰るとこですか？一緒に帰りたいです！」

やっぱり遮るように入ってきたのは帆乃ちゃんだった。蓮くんが顔をちょっと歪めたのはわかったけど、いつも一緒に帰ってるし今日はいいや、と思って帆乃ちゃんに譲った。
蓮くんがわたしの名前を呼んでるのを聞こえてないフリして、そのまま楽屋を出た。

「Aちゃん！」

わたしを追いかけるようにして楽屋から出てきたのはラウちゃんだった。

「ラウちゃん～！」

「ね、めめが呼んでたけどいいの？」

「うん、多分わたしがいると邪魔になっちゃうから」

「……嫌じゃないの？」

「ふふ、涼太くんと同じ質問だ。わかんないんだよね。嫌かって聞かれたら嫌かもしれないし、そうじゃないかもしれないから………」

「そう、なんだ……。っねえ！このあと暇？ご飯行かない？」

「いいよ～、ラウちゃんのおごり？」

「僕のおごりでいいよ！行こ！」

「えぇ、ラウちゃん成長したねぇ……」

何歳だと思ってるの！なんてラウちゃんにつっこまれながらわたし達はスタジオを出てその足で近くにあったファミレスに入った。
ラウちゃんとご飯を食べている間もなんとなく、あの2人のことが脳裏によぎってあんまり味がしなかった。