婚約破棄のその日まで【tn】

9.安堵 ページ10

それから更に1年後

私が学園に入学し少し経った頃



トントンから「会いに行く」という手紙がきた。



会いに来てくれるのを喜ぶべきか、これまで手紙を寄越さなかったことを怒るべきか…

複雑な心境のまま彼を出迎えることになってしまったのだが…




「ほんっまにすまん！！！！」




初手土下座に驚きすぎて考えていたことが頭から飛んで行ってしまった。




『え、あの、ちょっ』


「会いにも来れんし、グルさんの所為で手紙も出せんし！！俺、ちょっと軍辞めてk」


『いやいやいや、待ってください。私は大丈夫ですから！』




辞表とかかれた紙を握りしめ走り出そうとするトントンを必死の思いで止め、何とか家にあがって貰う。

紅茶を入れて落ち着かせるように背中を撫でてやるとほっと息を吐いて紅茶にてをつけてくれた。




『驚いた…』


「いや、ホンマにすまんわ。Aに会えなくて禁断症状出てもうてな」


『禁断症状…？』


「5徹したらAの幻覚見てん。で、そろそろまずいから会ってこいって」




禁断症状という単語にも衝撃を受けているが、5徹という単語もだいぶ衝撃的だ。

そりゃ手紙出す暇も会いに来る時間もない…。




悲観的になっていたのがしょうもなく見えて苦笑いが出てしまう




「これからは週一で休みもぎ取ってくるからな！」


『その週一で休んでください』




これ以外の言葉が出てこない。
貴重な休みを私のために使ってくれるのは嬉しいが倒れたりしたらたまったもんじゃないので休んで欲しい


私が近くで助けられたらいいのだけど…。




「それにしても、またしばらく見ない間に綺麗になったな？」


『気の所為ですよ、平々凡々変わりません』


「そんな事ない、学園で変な虫つかんか心配やわ」


『付きませんよ』




真面目な顔してそんなこと言わないでください。
言われてるこっちが恥ずかしくなってしまう




「はぁー、早く結婚したい」




私もです、と思ってはいても口に出せるのはまだ当分先となることだろう。

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