婚約破棄のその日まで【tn】

【request】兄みたいな彼ら ページ28

午前9時

トントンが仕事なので何もすることがない休日。



『起きよ…』



さすがに何時までも寝ている訳にもいかないのでもそもそとベットから這い出る。

簡素なワンピースを着て、食堂にでも行こうかと扉を開けると



「お！トントン嫁やん！」

「Aか！！」



シャオロン様とコネシマ様が何故か武器を持って廊下に立っていた。

あー…内ゲバ開戦するとこだったのね


腰を落とし今にも駆け出しそうな体勢の2人を見てため息をつきそうになる。



『おはようございます、廊下で何しようとしてたんですか？』



にこり、と威圧を込めながら笑いかけると2人の顔色がさっと青くなり、持っていた武器を隠すとあわあわと言い訳をし始めた。



「ちゃうねん！シャオロンが先に突っかかってきてん！」

「嘘つくなや！シッマが先やろ！！」

「なんやてぇ！？」

「やるかこの野郎！！」



やめて下さい…。



『…お二人とも、トントン呼びますよ』



ピタリと動きが止まる。



「ご、ごめんて」

「トントンだけは勘弁してや…」



先日、城壁の一部を破壊して怒られたばかりの彼らはまだその時の恐怖が残っているようで…
どんな怒り方したんでしょ



『まぁ、ほどほどにして下さい。それでは私は失礼します』




少し大袈裟に肩を竦めて見せ、目的である食堂の方へと向かおうと足を向ける。



すると、肩を両サイドから捕まれた。




『え？』


「トン嫁…あー、Aは今日休みなんか？」


『えぇ、まぁ』


「じゃあ、暇？」



シャオロン様の質問の意図はわからないが、特に用事もないので頷くとパァーっと効果音が付きそうな笑顔を向けられる。

彼に尻尾があったらブンブン振られていそうだ。




え、何事。



「よっしゃ！じゃあ行くで！！」


『えっ？…ひょわっ！』



油断してた！！


突然の大きい声に驚いていると、コネシマ様に持ち上げられ俵抱きにされる


そして彼は廊下を走り出した。



『えっ、あの、えっ！？』



パニックの中、顔を上げると後ろを走るシャオロン様と目が合う。



『あの、シャオロン様…』

「これから城下町の見回りやで！」



いや、そうだけどそうじゃない！！

私が聞きたいのは何故私を連れていこうとしているか、だ！！






「シャオロン！A！トントンに見つかる前に、はよ行くで！」





この人たち懲りてないな…

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