こんにちは愛する世界2【呪術廻戦】 (ページ48)

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141:Once Upon A Time In TOKYO ページ48

【majiko】

2人。と言うか1人と1匹。か1体。
自分自身の置かれた状況は謎のベールに包まれている訳だけれど、ここはお風呂場。

包むベールも何もありはしない、何ともチグハグで緊張感の無い現状。

何かを言い加えるなら、私はいま泡塗れになって君の背中を流してる。
何故か君はまた手枷を嵌めているし、仕方ないのだけれど。

｢〈(私は死んだ筈だよね？)〉｣
｢…ありがとう傑。交代｣
｢〈…あぁ、うん〉｣

言われるがまま、されるがまま。
目線が低くて君の大切な部分が私には丸見え。

｢〈(ちょっと、これは)〉｣

別に同性だから何かって事は無い。有るけど、ちゃんと触られている感覚も有る。
泡だらけの君の手が私の身体を丁寧に、弄る。

｢〈っ駄目！A！〉｣
｢…何が？｣
｢〈駄目ゼッタイ！お母さん許さないから！〉｣

何がを君に伝えるのは気が引けた。
煩悩まみれな自分に嫌気がさすけれども、だ。
それとこれとは話が別。

｢〈Aっ！〉｣
｢…泡、流す｣

眼前にシャワーヘッド。
だと分かれば、私を包む柔らかくて温かな水流。

｢〈あ゛ぁ゛っ〉｣
｢…ふふふ｣

ふいに聞こえた、久しい君の笑い声にまた涙が。
そして燻り返す記憶。
私が決めて、私が歩んだ、私の生き方。

｢〈(後悔は沢山ある)〉｣

君の事にしたって謝らなければだし、家族達も心配だし、何から話したらいいのやら。
考えていれば宙に浮く身体。
それが分かれば、私は適温のお湯の中に沈む。

｢〈…あ゛ぁ゛～〉｣
｢お客さぁん。湯加減は如何ですかぁ｣

変にドスの効いた声を出し、掻き上げた前髪を2○18サングラスで止める君。
少し悪い顔をしている所を見ると、私に真面目な話をさせるつもりは無いんだろう。
少なくとも今はそうなのだと感じる。

｢〈…ちょうどいいよ〉｣
｢なら良かった｣

私にそれだけ確認すると、悪い笑みを称えたまま湯船に浸かった。
途端に会話が止んで静かになる。

気まずい訳でも何でもない、穏やかな静寂。
君の持つ不思議な空気感に触れて、懐かしいと思うのと同時に心まで洗われる。
今の私はそんな気分。

心地よく湯面に浮かんで漂っていたら、悪戯っぽい含み笑いが聞こえた気がした。

｢…ふふふ｣
｢〈どうかしたの？A〉｣

この感じは良く知ってる。
何かを企んでいる時の反応。
だから、今のうちに釘を刺して止めなければ。

｢〈…何をしようとしてるの？〉｣
｢…傑を乾かさなきゃって｣
｢〈それがどうかした？〉｣
｢……脱水機…ふふっ｣