こんにちは愛する世界2【呪術廻戦】 (ページ33)

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126:STAY TUNE ページ33

【Suchmos】

とりあえず絶対に、今日中に揃えないと困るのは君の着替えとスマホ。
時間がかかる方から終わらせたし、後はゆっくり買い物すればいいって所まで来た。

手を繋いで街中を歩いてる僕らに向かって、人の視線が刺さること、刺さること。

｢浮いてるねぇ｣
｢…五条が目立つからね｣

君はそれが嫌みたいで、事ある毎に僕の後ろに隠れようとする。
先ずは女の子に声掛けられて、次は街頭インタビュー、それからモデルのスカウト、後は気にする必要も無いヒソヒソと話す声。

｢…それって褒めてる？｣

もう返事は首を横に振るだけ。

ちょうど時間帯的にもこれから益々人が増えるだけだし、困った。って悩む時間すら惜しい。
こうなったら予定を"ゆっくり"から"サクッと"に変更するより他ない。

｢(初めてのお出かけの時は)｣
｢…五条｢こら、パパって呼びなさい｣

思い返せばあの時だって。
前日からある程度は予定を組んでたのに、物も見事にひっくり返された。
君は迷子になって、大雨で、誕生日を、

｢…パパ、あれ何？｣

あれと言って指すのは、別に珍しくもない何処ででも見かけるチェーンのコーヒー屋。
店内で座ってる人が窓に向かって作業してる光景。

何も知らなかったら確かに異質に見える。

｢気になるなら行ってみる？｣
｢…行っても良いなら｣

初っ端から飛ばし過ぎな気がしないでも無いけど、僕が楽しむ事よりもそっちの方が良さそうな気がした。

よく良く考えてもみれば着替えだってどうとでもなる。
また明日、今日みたいに出来るかって言われたら無理だけど、また必ず時間を作れる。

今日のうちに出来なかった事はその時にでも、次があるから。
そう考えた方が今を楽しめる。

｢あ、桜のやつまだあるじゃん｣
｢…コーヒーのお店なんだ｣

僕が喜々としてメニューを見てる下から元気の無い声。

｢コーヒー駄目だっけ｣
｢…ん、苦手｣

砂糖ドバドバ入れたら飲めるって感じかも分からない。
というか、君の事を知らなすぎる気がしてきた。

｢…お茶の、甘いやつもあるよ？｣
｢……じゃあそれにする｣

頼む物が決まった。
それは良かったけど注文がまた大変だった。

これじゃあ1人で外には出せないなぁと思ったのと、そもそも外に出して貰えて無かったのを思い出す。

僕の少し沈んだ思考とは裏腹に、君は幸せそうな顔をしてる訳なんだけどさ。

｢僕にも1口ちょーだい｣

君の知らない事を僕が教えたって、嬉しさの方が大きいのは内緒にしておこう。