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56:終列車 ページ7

【椿屋四重奏】

「(あっという間に4年も経ったのか…)」

雪が降りそうな、すごく寒い日には思い出す
自転車を漕いで行った活花の先生の家、お人形さん、委員長


「(全員無事に進路が決まったし)」

僕は無事に希望の進路に進めた
それぞれに違う方向ではあるけど、バンドは解散せずに集まろうと話している

もう今時期にわざわざ学校に行く奴も少なくなって、僕も行かずにバイトをする日々が続いていた

そんなある日、担任から家に連絡があった
母さんが言うには手が空いた時で良いから、生徒会の仕事を手伝って欲しいんだそうで

「(久しぶりに学校に寄ったら、これ)」

渡されたのは大量の書類、中には期限ギリギリのやつもある
それを僕から風紀委員長に渡せと言うのだから困ったものだ

「(…トンファー、いっぱーつ!…全く笑えん)」

どうにかテンションを上げようとするけど、僕にも行きたくない理由がある

「("その2"に会いたくない)」

お見舞に行った後から僕の受験活動が始まったのもある
しかしながら、あの時の彼の態度が許せ無かったし、ちょうどいいだなんて

「(思ってたのになぁ…)」

考え事をしていれば目の前に応接室の扉
久しぶりだし、ちゃんとノックしてみると返事があった

そして僕は扉を開けて驚いた

「…どしたん、これ」
「………何しに来たの」

有り得ないくらい散乱している室内
散乱というか、破損、破壊されているの方が正しいかも知れない

委員長は顔を上げずに書類を片付けている

僕は恐る恐る入室して、壁のクレーターを数えながら彼に近づく

「(…18…これは…19、話を聞いた方が良いな)」
「……久しぶりだね」
「…受験生してたからね」
「……もう終わったの?」

「とっくに終わったよ?」

言えば彼が勢い良く顔を上げた
その目が僕を捉えて映した時、すごく嫌な予感がした

「(あの日、ちょうど今日みたいな)」
「…どうしたらいい」
「(悲しそうな目)」
「……僕は…もう…」

彼の言葉が途切れた

こんなに弱っている委員長は初めて見る
普段なら考えられないという事は、たぶんあの子が関係しているはず

「(お人形さんに振られた?)」

パッと思い付いても口には出さない
静かに委員長から話すのを待つ事にする


「(…間がながぁい)」

中々話さないからお茶でもいれようと思った矢先、彼は口を開いた

「…あの子、居なく…消えた」
「………おぉん?…何それ」
「文字通り………消えた」

長い話になりそうだと思った

57:ロスト・チルドレン→←55:メビウス



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作者名:ゆきみ大福 | 作成日時:2021年1月14日 22時

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