53:beehive ページ4
【イリオン】
しばらく周りを散策すると別の入口に死体の山を見つけて、僕はその上を歩いて建物に入る
｢(委員長は犯人を探しに上の階へ行った)｣
｢(彼はお礼したいんだろう)｣
｢(何人いたら委員長に勝てるんか？)｣
通路に転がる負傷者に、室内に転がる負傷者
委員長が言ってた特徴でも桜が見つからない場所
｢(『拐われた』、『大切そうに扱ってた』)｣
｢(生かして逃げない様に手元に置く、んで閉じ込める？)｣
立ち止まって頭の中で可能性を絞り込んでいく
｢(大切に扱うなら)｣
｢(『居た』、『寝てる』、『分からない』)｣
｢(見た目では怪我が分からない、寝てるなら布団かけてて分からない？もあるか)｣
｢(大切なら後者？…何か嫌ですなぁ)｣
何かに少し近づいた気がする
｢(それ見たら委員長は…嫌どころじゃ済みませんわな)｣
｢(あの子が拐われた、委員長は探す、居た、返り討ち『動けない』？)｣
｢(苦しいわぁ…だとしてもあの子は大丈夫なんか？)｣
一応は方針が固まった
｢(あの子は何処かの室内に居る、かも知れない)｣
｢(一緒に犯人達？が居たら…やばい怖いキモイ)｣
最悪の事態を想像しながら近くに落ちてた斧を拾って、なるべく静かにある部屋を片っ端から探す
元は従業員用の、結構分かり辛い所にあった
｢("仮眠室"鍵かかっとる)｣
耳を扉に当てて物音が聞こえない事を確認
それから斧で扉の鍵をぶち壊してみた
｢…お人形さん、みーつけた｣
隠されてたそれを探し出せて、独り言が出るくらいほっとした
それは誰も居ない室内に、白いシーツに包まれてベッドに横たわっている
寝てるみたいだから急いで起こそうと思って、肩を強めに叩いてみた
全く反応はない、色々試してみたけど駄目だった
肩が上下してるから死んでないはずだけど
｢(もしかしてシーツの下は血だらけで、昏睡状態？)｣
閃いたままにシーツを引き剥がして、驚いて、さっきまでフル回転だった思考回路が完全に停止した
いま僕が口を開いたらボケるなぁ、何て思いながらそっとシーツを元に戻す
｢(マルのモロやないかい！)｣
｢(やっぱそういうのか！？最低だな誘拐犯！)｣
｢(…今までやった仕事の中で…色々といっちゃん辛いかも…)｣
ひとまずスカートを脱いで、それをお人形さんに履かせようと思った
急いでその場を離れないといけない、かと言ってそのままで背負って行く気にはなれなかったし
伝えられない言葉を念じるしかなかった
｢(お人形さん…間に合わなくてごめんね)｣
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作者名：ゆきみ大福 | 作成日時：2021年1月14日 22時
